少し前のネットで出回っていたニュースなのだがFIBA(国際バスケ連盟=サッカーで言うFIFA)が「JBA(日本バスケット協会)に資格停止処分を通告。理由は国内に分裂したプロリーグ問題。この問題が解決するまで国際大会にバスケ日本代表を出場させない。また2020年の東京五輪バスケ競技において、日本の開催国枠を認めない」とかなり強硬な態度をFIBAは表した。

しかし強硬な態度ではあるもののその一方である種当然の裁定にも見える。この裁定によりJBAの会長が辞任に追い込まれるまでに至り、日本のバスケファンも遅々として一向に進まない国内バスケリーグの統合問題に対して、ネット上で国内バスケ関係者に対する怒りの声が上がっている。

そもそも日本のプロバスケリーグというのは世界でも(バスケは筆者はド素人だがおそらく)かなり特殊な歴史を持っている。実業団リーグから派生したNBLとプロ化が進まないことに業を煮やしたグループから2005年に分離独立した(事実上の)独立リーグであるbjリーグとの対立がこの10年あった。

日本のバスケ界で日本代表を構成しているのはJBAから来るNBLの方だが、(筆者含めて)認知度が高いのはbjリーグだったりする。バスケに詳しい人の話ではレベルが一番高い選手がNBLに進み、そのレベルに達していないその枠から外れた選手がbjリーグに行くという。後にJBAもbjリーグも認可したが両者の立場は曖昧なまま交流もないのである。

しかし国内のプロリーグの団体分裂の長期化に業を煮やしたFIBAが、堪忍袋の緒が切れたのか強硬手段に打って出た。元々筆者のブログで言っていたがボクシングでもスキージャンプでも女子競技が国内で開催されるようになったのは国内関係者の尽力ではなく、その種目の統轄団体が(当時の日本にはあるはずのない)女子選手の派遣を要請され、国内の連盟があわてて独自の活動を進めていた女子選手を急遽派遣する、要は海外から強烈な圧力がないと何も変わらない国である。

今回のプロバスケリーグ統合問題は男子種目であるが、根っこの部分は同じである。バスケという競技の受益者(最も得をして幸せになるべき人)はバスケの選手でありバスケファンであるはずなのに、(どの種目でも同じだが)選手やファンの幸せよりもリーグ統轄関係者の面子や見栄を優先し、結果としてバスケ人気の低下に繋がるのである。これではただでさえ少子化で人災確保が厳しい昨今バスケに人が集まらなくなる。

このニュースの後にもNBLの和歌山の選手達が球団フロントやリーグに給与遅配を理由に提訴するニュースもあった。

例えばある元バスケ選手の父親が倅(せがれ)にバスケをやらせようとした時、その子が「バスケは団体分裂してるし給与の遅配もあって儲からん。やるならサッカーか野球の方がいい」と言われたらどう思うかという話である。

前にもこのブログで書いたが、このままではこれから身体能力と身長の両方が高い子供はバスケではなくサッカーのCBかGKを選ぶ時代になる。

せっかく(先日終わったが)「黒子のバスケ」など優良なバスケコンテンツがあって、子供がバスケに興味を持っても国内リーグがこれでは発展する訳がない。サッカーとボクシングのファンでバスケのド素人である筆者でさえ、今の国内のバスケ環境には危惧を覚えてしまうのである。

参考文献 Number 849 (2014年3月27日号)