今年(2014年)はブラジルでW杯もあり最終的にドイツが優勝した。ただドイツの優勝をくさす気は更々ないがサッカーのオールドファンの人から見ると「以前のドイツに比べてドイツらしさがなかった。というよりドイツに限らずヨーロッパ各国にその国の伝統のサッカーというのが希薄になってきた」という言葉が印象的であった。
筆者(独眼鉄)はまだそこまでコアにサッカーを見ている訳ではないので具体的な違いはわからないが、今の世界のサッカーというのは現代社会がグローバル化したのと同様に、どこの国でも均一化しつつあるようである。
そもそもサッカー(特にヨーロッパ)でいつ頃からこの動きが出てきたかと言うと、1995年のボスマン判決の頃からである。
「ボスマン判決」とは何なのか?これはスポーツビジネスの世界においてかなり重要な影響を与えた判決である。そしてこのボスマン判決によってヨーロッパのサッカー界のボーダーレス化が急激に加速した。
ボスマン判決とはベルギー人サッカー選手ジャン=マルク・ボスマンが当時所属していたベルギー2部のクラブとの契約が満了し(つまり契約上フリーランスの立場になって)、フランスのクラブに移籍しようとした時に元の所属先のクラブが移籍にまったをかけ移籍金を要求しようとして、これに不服のボスマンが所属先のクラブとUEFAを相手取って起こした裁判の判決である。
この時ボスマンは「①契約が満了した選手は移籍金なく自由に他クラブに移籍できる権利②EUの労働規約に則りEU圏内の選手はEU内のクラブを自由に移籍できる権利」を要求し彼は全面勝訴した。
ボスマンのサッカー選手としての経歴は平凡なものであったが、このボスマン判決がヨーロッパサッカー界に与えた影響というのは計り知れないくらい大きなモノとなった。
この判決によりヨーロッパのサッカー界で選手の移籍が爆発的に流動的になって、ヨーロッパのビッグクラブは各国のトップ選手をマネーの力でかき集めることが可能になった。
こうしてボスマン判決からヨーロッパのサッカー界というのは欧州独自の伝統というモノが(自国の伝統と歴史を重んじるのを好む国民性なのに)希薄になり、欧州サッカー界全体がこの判決からグローバリゼーションの荒波に呑み込まれて均一化の道に突き進んで行ったように見える。
ソニーCEOの出井伸之が「ヨーロッパの歴史は統合と分裂の繰り返しだ」と言っていたが、欧州のサッカー界の統合もこのボスマン判決からグローバル化(と均一化)の激流に呑み込まれて行ったのである。
しかしそのグローバル化の激流に適応できない国もある。EU圏内の経済は現在不調でEU加盟国で「PIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)」の各国は国家としての経済危機に見舞われているのである。ヨーロッパ社会がEUで統合されたものの、その統合に適応できない国もあるのである。
サッカーの世界も同じで2004年にイングランドのチェルシーが財政難からロシアの大富豪のアブラモビッチに買収されたり、イタリアのフィオレンティーナが破産危機に追い込まれたり(祖母井秀隆が一時GMをしていたフランスのグルノーブルも来た時は経営危機であった)、ヨーロッパの各地でグローバリゼーションの爪痕が残っている。
ボスマン判決に限らず時代というのは不可逆的で元には戻れないモノである。しかしボスマン判決の残したグローバル化の激流というのは凄まじいモノだったのである。
参考文献 サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ 儲けられない日本のクラブ 小澤一郎 2012年 カンゼン
筆者(独眼鉄)はまだそこまでコアにサッカーを見ている訳ではないので具体的な違いはわからないが、今の世界のサッカーというのは現代社会がグローバル化したのと同様に、どこの国でも均一化しつつあるようである。
そもそもサッカー(特にヨーロッパ)でいつ頃からこの動きが出てきたかと言うと、1995年のボスマン判決の頃からである。
「ボスマン判決」とは何なのか?これはスポーツビジネスの世界においてかなり重要な影響を与えた判決である。そしてこのボスマン判決によってヨーロッパのサッカー界のボーダーレス化が急激に加速した。
ボスマン判決とはベルギー人サッカー選手ジャン=マルク・ボスマンが当時所属していたベルギー2部のクラブとの契約が満了し(つまり契約上フリーランスの立場になって)、フランスのクラブに移籍しようとした時に元の所属先のクラブが移籍にまったをかけ移籍金を要求しようとして、これに不服のボスマンが所属先のクラブとUEFAを相手取って起こした裁判の判決である。
この時ボスマンは「①契約が満了した選手は移籍金なく自由に他クラブに移籍できる権利②EUの労働規約に則りEU圏内の選手はEU内のクラブを自由に移籍できる権利」を要求し彼は全面勝訴した。
ボスマンのサッカー選手としての経歴は平凡なものであったが、このボスマン判決がヨーロッパサッカー界に与えた影響というのは計り知れないくらい大きなモノとなった。
この判決によりヨーロッパのサッカー界で選手の移籍が爆発的に流動的になって、ヨーロッパのビッグクラブは各国のトップ選手をマネーの力でかき集めることが可能になった。
こうしてボスマン判決からヨーロッパのサッカー界というのは欧州独自の伝統というモノが(自国の伝統と歴史を重んじるのを好む国民性なのに)希薄になり、欧州サッカー界全体がこの判決からグローバリゼーションの荒波に呑み込まれて均一化の道に突き進んで行ったように見える。
ソニーCEOの出井伸之が「ヨーロッパの歴史は統合と分裂の繰り返しだ」と言っていたが、欧州のサッカー界の統合もこのボスマン判決からグローバル化(と均一化)の激流に呑み込まれて行ったのである。
しかしそのグローバル化の激流に適応できない国もある。EU圏内の経済は現在不調でEU加盟国で「PIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)」の各国は国家としての経済危機に見舞われているのである。ヨーロッパ社会がEUで統合されたものの、その統合に適応できない国もあるのである。
サッカーの世界も同じで2004年にイングランドのチェルシーが財政難からロシアの大富豪のアブラモビッチに買収されたり、イタリアのフィオレンティーナが破産危機に追い込まれたり(祖母井秀隆が一時GMをしていたフランスのグルノーブルも来た時は経営危機であった)、ヨーロッパの各地でグローバリゼーションの爪痕が残っている。
ボスマン判決に限らず時代というのは不可逆的で元には戻れないモノである。しかしボスマン判決の残したグローバル化の激流というのは凄まじいモノだったのである。
参考文献 サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ 儲けられない日本のクラブ 小澤一郎 2012年 カンゼン