スポーツの現金化 (その161・憂鬱な季節)

2014年もあと1ヶ月を切って世はクリスマスだの年末商戦だの色々忙しいようだが、今日(2014年12月6日)はJ1最終節で天上界のことはよくわからないが、それまで破竹の勢いだった浦和が終盤で失速してガンバが今シーズン3冠を狙えるとラジオで言っていたが、ついこの間までJ2の仲間だったガンバが来年はACLに行けるとは随分出世したように見える。

そんな別世界のJ1はさておき、この季節というのはスポーツビジネスの関係者にとっては一番憂鬱な季節なのである。勘の良い読者なら分かると思う。そう。戦力外通告である。

J2はほとんどのチームがシーズンを終えてJ1もこれからはいわゆるストーブリーグが活発になってくる季節である。一方プロ野球の方も既にシーズンを終えて、こちらはトライアウトで新天地での活躍の場を探す為に多くの野球を捨て切れない野球馬鹿(親しみと尊敬を込めて)が白球に自分の人生を賭けるのである。

プロ野球もJリーグもこの晩秋というのは前述の通り憂鬱な季節なのであるが、Jの場合戦力外やトライアウト(プロ野球のトライアウトは秋でもう終わったが、Jのそれは来年1月頃でまだ先である)はまた色々な事情が加味される。

と言うのもJリーグはプロ野球と違って昇降格制度がある為に、昇格(もしくは降格)したチームは新たなリーグで闘う場合にそれまでと同じ戦力ではいけないので新しい選手を大量に確保する必要がある。

新しい選手を大量に雇うなら辞める選手も同じ数だけ出てくる。その為には選手の大量解雇を通告しなければならない。一部では降格したチームが自身のチームの選手を15人(!)も解雇したところもある。

あるクラブのGMは絶対に自身のチームのアウェイゲームの帯同をしない人がいた。なぜ帯同しないのかと聞くと「アウェイまでついていくと選手に情が移る。そうするとチームの人事に影響する。だから行かないんだ」て言っていた。この世界優し過ぎることは短所である。

野球でもサッカーでも戦力外通告というのは残酷な作業である。いくらその競技が好きでも決して「楽しい」とは言えない。できることなら避けたい仕事である。しかしやらなければいけない仕事でもある。特にプロ野球の世界では支配下登録という制度で、1チーム70人までしか選手登録出来ないので(先日もドラフトがあったが)新しい選手が生まれる影でひっそりとユニフォームを脱ぐ選手が同数いることも覚えておかなければいけない。

筆者(独眼鉄)はスポーツビジネスというのは①傭兵(戦争を賛美する気はないが、金で勝負の為の戦力を揃えるという意味)②リストラ(今言った過酷な戦力外通告の世界)③人身売買(プロ野球やメジャーリーグなどのトレードなどは言葉は悪いが人買いの世界)といったかなりヤクザな世界でもある。スポーツビジネス＝楽しそうと思う人もいるかもしれないが、実は血の川を渡るような修羅の道なのである。