筆者(独眼鉄)は最近仕事の都合上東東京エリアを自転車(ママチャリ)で回って(徘徊?)いるが、昨今の東京で街を行き交う中で自転車ロードレーサーの愛好家に会わない日はないぐらい、今の東京ではロードレースの自転車が市民権を得ている。

健康ブームが追い風となって沸騰する自転車マーケットであるが、国内の自転車市場はどうなっているのだろうか?資料は少し古いのだが色々見てみよう。ブームの前の1990年の輸入自転車台数は667000台と、この頃はごくごく一部の好事家(こうずか・特殊な趣味の人々)のロードレース用の自転車も2007年には9604000台と膨れ上がり(この資料の後にはもっと台数が増えているであろう)、この時点で国内で販売されている自転車の1割は輸入自転車になっているので、2000年代中頃には既に自転車ロードレースというのは、一般的な趣味として広く市民権を得たものになっていたのである。

輸入自転車の中で人気なのはスポーツ車(BMX等)が好まれていて、ロードレーサーを買う人は30~40代または団塊の世代である60代くらいの金銭的にゆとりのある世代が多く、予算としては10万円というのが一つの目安になっている。

国内大手の一つであるブリヂストンも「国内の自転車ブームが追い風となって、自転車に注目が集まっています。台数は横ばいのまま売上金額が伸びています」とある。

その自転車ブームの総本山である「ル・ツール」(ツール・ド・フランス)はどうだろうか?1903年にフランスのスポーツ紙が始めたこのイベントも100回に到達し、6~7月の約1ヶ月間にフランス全土3479kmを走破する。今や五輪、サッカーに次ぐ第3のメガスポーツイベントに拡大したツール。2011年の観戦者は1200万人。取材に訪れたジャーナリストやカメラマンは約2400名。世界190ヵ国に放映された。

主催者であるイベント会社ASOにはスポンサー収入、放映権料、コースとなる市町村からの開催権料が入る。ミネラルウォーターの「ヴィッテル」、大手銀行の「クレディリヨネ」、スーパーの「カルフール」、チェコの自動車メーカーの「シュコダ」の4大スポンサーがそれぞれ支払う額は350~500万ユーロ。「ASOはミニIOCだ」という声もある。

こうして国内外に元々潜在的な需要と多額のマネーが動く土壌があった自動車マーケット。健康志向の自動車愛好家の人がロードレースを楽しむことにより、競技者の最高峰であるツールに注目するようになる。そうすることによって自動車市場はより活況を呈する。これからの自動車市場に注目である。

参考文献 Sport Management Review vol.10 2008 人気沸騰!「自転車マーケット」の研究。

週刊東洋経済 2012年3月10日号 五輪×スポーツ<大解剖>