先日はプロ野球のドラフトもあり多くの野球人が憧れるプロ野球選手。そのプロ野球選手も昔は皆高校球児であった。この高校球児という存在。そしてその球児たちが集う野球部と言う組織。ただ高校生が野球をやるというだけでも、部外者にはわからない費用の捻出と関係者の苦労がある。

先日整理していた資料にあったが硬式野球の試合球というのは一個1000円もするモノであって、野球部にとってボールというのは使い潰してナンボの消耗品なのでとにかく量が必要なモノである。

以前たまたまラジオで聞いた元巨人軍の看板選手が、彼の地元に後進の若い野球選手のためのクラブチームを設立した話を聞たが、彼曰く「巨人にいた頃は考えたこともなかったが、チームのオーナーになって硬式球一個がこんなに高いモノだとは思わなかった。ボール一個なくなったらチームみんなで探さないと」と野球チーム運営の苦悩を吐露していたのを覚えている。

硬式球一個の重みはクラブチームでも高校の野球部でも同じである。筆者(独眼鉄)も高校時代一瞬だけ野球部にいてすぐに辞めたが(我ながら本物のろくでなしだ)、そこの野球部に部のOBであるプロ野球選手がいた為、その野球部にはその選手が所属するプロ野球球団から球団が使わなくなった片落ちの硬式球が一定数送られていたのを覚えている。これは(私立とはいえ)野球部には相当助かった援護射撃であっただろう。

しかし一般の公立の野球部ではそういう援助は期待出来ない為に、部では限られた予算をやりくりしなければならないのが現状である。

前述の通り硬式球一個で1000円もかかり一年で50ダース買ったら60万円もかかる。それだけでその野球部の部費をオーバーしてしまう。

こういう場合は大体どこの野球部でも父母会のサポートがなければ、部の運営はやっていけないのが実情である。

こうした中で埼玉県春日部市の高校野球の市民大会ではかなり助かる「ご褒美」がある。毎月11月に地元ロータリークラブが主催する市民大会なのだが、その市民大会の優勝チームがボールを7ダース、準優勝は5ダース、3位は4ダース景品としてプレゼントされるというのである。

今までのいきさつを考慮すれば慢性的な資金不足に喘ぐ公立の野球部にとってみれば、福音のようなサポートである。これは相当大きいであろう。しかも部員数が多い野球部なら、その分ボールの消耗度も激しいのでボールの価値は高まる。

こうして今回は野球部における硬式球一個の価値を考えてみたが、白球に球児の夢を賭けるのにも多額の費用がかかるのである。

参考文献 高校野球マネー事情 手束仁 2013年 日刊スポーツ出版社