今までスタジアム問題に関して欧米のスタジアムに対する戦略や試行錯誤をこのブログで言ってきた訳であるが、今回は日本のプロ野球について少し考えてみたい。
前回はメジャーリーグの球場が失敗を克服して稼げるスタジアムになったことを紹介したが、では日本の球場はどうだろうか?
日本のプロ野球で使われている球場も様々な問題を内包しつつ(球場に限った話ではないが)、21世紀に入ってメジャーほどではないが稼げるスタジアムも出てきている。
日本の球場で最も稼げる球場はどこかと言えば東は東京ドームで西は甲子園ということになるのだろうが、日本国内でも巷でよく言われる格差社会ではないが稼げる所とそうでない所が出てきているのも事実である。
そもそも日本の球場は経営母体が私企業や第3セクターであるのに対し、メジャーの球場は球場の所有者が地元自治体で(前にも言ったが)球場建設に税金を投入するケースが多い(ここら辺はJの専スタにも似ている)。あとここが重要だが球場使用料も東京ドームの場合は一試合(1日)の使用料が推定1750万円なのに対し(もっとも東京ドームは高額な方だが)、メジャーの球場は使用料が無料か雀の涙ほどの金額であることが多い。
日本ハムファイターズが札幌移転した時も札幌ドームは年間の球場使用料が5億円(当時・推定)で、それまで東京ドーム時代には1750万円×年間60試合=10億5000万円(推定)の使用料が半額以下に抑えられるという球団側のコスト削減の効果が移転にはあったと言える。
その一方でロッテの球場であるQVCマリンフィールドも以前は閑古鳥が鳴く球場だったが、2006年に指定管理者制度の申請を受理されたのが追い風となった。
この球場は土地は千葉県が球場そのものは千葉市が所有しており、それまでロッテは(球場のある)海浜幕張駅周辺にチームや選手のポスター一枚貼るだけでも役所に伺いを立てなければならなかったが、この指定を受けたことによって球場や最寄り駅周辺を自由にアレンジすることができるようになったのである。
この指定の受理により駅周辺が球場に向かうファンにとってアメリカのボールパークではないが、来た客を飽きさせない楽しい趣向を凝らした非日常の空間へと誘うことができ、結果として球場にそれまでの4倍のリピーターを獲得することに成功したのである。またリピーターの多い球場として球場そのものにも付加価値がついたことにより、それまでの千葉マリンスタジアムという名前から現在のQVCマリンフィールドと球場にネーミングライツ(命名権)がつき、球団にお金が落ちる仕組みができているのである。
こうして今回は日本のプロ野球の球場について考えてみた訳だが、たかが球場されど球場ではないが球団を強くする為の強化費を稼ぐ為にはまず稼げる球場にしなくてはならないことがわかった。稼げる球場を作るには一朝一夕ではできないのである。
参考文献 Sport Management Review 2008 vol.10 徹底研究・米国大学の「ビジネス力」 …東京ドーム20年の功罪。
Sport Management Review 2008 vol.11 稼ぐスタジアム。稼げないスタジアム。
前回はメジャーリーグの球場が失敗を克服して稼げるスタジアムになったことを紹介したが、では日本の球場はどうだろうか?
日本のプロ野球で使われている球場も様々な問題を内包しつつ(球場に限った話ではないが)、21世紀に入ってメジャーほどではないが稼げるスタジアムも出てきている。
日本の球場で最も稼げる球場はどこかと言えば東は東京ドームで西は甲子園ということになるのだろうが、日本国内でも巷でよく言われる格差社会ではないが稼げる所とそうでない所が出てきているのも事実である。
そもそも日本の球場は経営母体が私企業や第3セクターであるのに対し、メジャーの球場は球場の所有者が地元自治体で(前にも言ったが)球場建設に税金を投入するケースが多い(ここら辺はJの専スタにも似ている)。あとここが重要だが球場使用料も東京ドームの場合は一試合(1日)の使用料が推定1750万円なのに対し(もっとも東京ドームは高額な方だが)、メジャーの球場は使用料が無料か雀の涙ほどの金額であることが多い。
日本ハムファイターズが札幌移転した時も札幌ドームは年間の球場使用料が5億円(当時・推定)で、それまで東京ドーム時代には1750万円×年間60試合=10億5000万円(推定)の使用料が半額以下に抑えられるという球団側のコスト削減の効果が移転にはあったと言える。
その一方でロッテの球場であるQVCマリンフィールドも以前は閑古鳥が鳴く球場だったが、2006年に指定管理者制度の申請を受理されたのが追い風となった。
この球場は土地は千葉県が球場そのものは千葉市が所有しており、それまでロッテは(球場のある)海浜幕張駅周辺にチームや選手のポスター一枚貼るだけでも役所に伺いを立てなければならなかったが、この指定を受けたことによって球場や最寄り駅周辺を自由にアレンジすることができるようになったのである。
この指定の受理により駅周辺が球場に向かうファンにとってアメリカのボールパークではないが、来た客を飽きさせない楽しい趣向を凝らした非日常の空間へと誘うことができ、結果として球場にそれまでの4倍のリピーターを獲得することに成功したのである。またリピーターの多い球場として球場そのものにも付加価値がついたことにより、それまでの千葉マリンスタジアムという名前から現在のQVCマリンフィールドと球場にネーミングライツ(命名権)がつき、球団にお金が落ちる仕組みができているのである。
こうして今回は日本のプロ野球の球場について考えてみた訳だが、たかが球場されど球場ではないが球団を強くする為の強化費を稼ぐ為にはまず稼げる球場にしなくてはならないことがわかった。稼げる球場を作るには一朝一夕ではできないのである。
参考文献 Sport Management Review 2008 vol.10 徹底研究・米国大学の「ビジネス力」 …東京ドーム20年の功罪。
Sport Management Review 2008 vol.11 稼ぐスタジアム。稼げないスタジアム。