W杯ブラジル大会も一通りの結果が出て日本代表もメキシコ人の新監督に決まり、手始めの日本代表の緒戦であるキリンカップのウルグアイ戦や昨日のベネズエラ戦が組まれて新しい日本代表の面子が出揃ってきたが、結果は周知の通りウルグアイには敗れベネズエラには引き分けであった。

このブログで何度も言っているがサッカーという競技がプロ化して興行化してきたわけであるが、Jリーグや他のヨーロッパや南米などの国内リーグのようなプロサッカーの世界と違い、W杯のようなナショナルチームの戦いというのはプロの要素もありながら、メインの大会(W杯)が終わったら結果はどうあれ次の新チームを結成するという部分では、プロというよりむしろ野球の夏の甲子園やサッカーの冬の選手権のような高校スポーツの要素が出てきている部分もある(もっとも高校スポーツは最後の大会が終わると入れ替わるのは選手だけだが、W杯後の日本代表は監督も選手も入れ替わるが)。

そうした新チームを結成するということは、前のチームが野球の松坂世代のように一時代を築くような凄いチームだと、次のチームが色々と選手個々の能力が高くても野球でもサッカーでも新チームが機能しづらい面もある。

先日のキリンカップで緒戦のウルグアイ戦でも新生日本代表は(日本代表なのに知らない選手ばっかりだったが)、アギーレ監督はJリーグを視察していて(なぜかFC東京の試合が多かったが)これはと思う選手を取ってきた訳であるが、W杯前のチームとそれほど選手の入れ替わりが少なかったウルグアイより、日本代表はまだ結成して2~3週間というチームで、ある意味即席チームのような状態で試合に臨んだ感もあり不用意な横パスから失点して初陣が黒星発進になってしまった。

こうやって日本代表を見ていてチームが弱いのかというとそんなことはなく、昨日のベネズエラ戦の武藤の体幹の強く重心の低いドリブルからのゴールは見事だったし、個々の能力自体は悪くなかった。

しかし高校野球の世界でも夏の甲子園が終わった後に新チームを結成し、翌年春のセンバツの予選となる秋大会を戦うとなると、都大会や県大会の前の予選(いわば予選の予選)になるブロック予選でも新チームが機能せず、夏の甲子園のファイナリストの学校が緒戦敗退も珍しくなく(夏の大会の上位校はアジア選手権や秋の国体などで新チームを作りづらいという要素もあるが)、なんとかやっとこ勝ったとしても課題が山積みになり、高校野球では「戦う度に課題が見えるのが秋大会だ」という言葉もあるぐらいである。

高校野球でも高校サッカーでも新チーム同士の練習試合というのはお互いにバタバタとした内容のない試合で終わってしまうことも多いのだが、先日の日本代表もメンバーの入れ替わりが少ないウルグアイのようなチームとしての成熟度の高い国と戦うことによって、今の日本代表の何が足りなくて何が必要なのかがある程度は見えてきているように感じる。

高校野球にとって新チームの最初のビッグイベントが春のセンバツな訳であるが、日本代表のそれは来年正月のアジアカップである。日本代表も今マッチメークでもヨーロッパのチームがEUROの予選が始まって思うような試合が組めないなか、「秋大会」のように課題を見つけ克服しながら一定の成果をアジアカップのピッチで残さないといけない。先日のキリンカップの新生日本代表を見てその新チームが成熟させる難しさと今のチームの立ち位置を感じた。