ブログの本題に入る前に以前にも告知しましたが、筆者(独眼鉄)は今転職しまして研修が終わってこれから新しい職場で色々仕事を覚えないといけませんので、ブログの更新頻度が減ります。申し訳ありませんがその事をご理解下さい。

さて本題に入りますが、冒頭の今日のブログタイトルで2人の男性の名前がありますが、この2人の名前を知っている人は格闘マンガ通です。

粉川巧というのは(若い読者は知らないかもしれないが)1990年代に週刊サンデーで連載されていた高校柔道ラブコメマンガ「帯をギュッとね!(通称・帯ギュ)」の主人公の名前であり、高柳廻は現在イブニングで連載中の格闘技マンガ(アマ修斗&キック)の「オールラウンダー廻」の主人公である。

何っ?単に格闘技マンガの主人公を2人並べただけ?そうではなくこの2人にはある共通点がある。それは「主人公なのに読者からの人気が全然ない」ということである。

90年代中学生・高校生で柔道部をやっていた今のアラフォーのロスジェネ世代には懐かしいかもしれないが、帯ギュの当時の読者に巧は本当に人気が無かった。少年マンガ雑誌特有のファン投票でも主人公より人気が高かったのは、ポニーテールがトレードマークの健康的美少女の海老塚桜子だったし(巧がファン投票で優勝したのは第3回でようやくであった)、当時の帯ギュは女子キャラも男子キャラもとにかくキャラが立っていた。女子キャラでは(巧と交際している)マネージャーの保奈美や別の高校に通うショートカットの別所さん、男子キャラでは切れ目がトレードマークの柔道技のデパート斎藤君や巧の宿命のライバルで必殺の内股を持つ男・藤田恵など、巧以外に当時の中高生の心を鷲掴みしたキャラが多数いて、結果巧人気は下降線になっていった。

一方廻の方も主人公なのに全然人気が無く、去年オールラウンダー廻の作者のサイン会でサインの下にイラストを描いて貰う時に大半の参加者は廻の通う格闘技ジムで同門になる180cmの女子キックボクサーの高校生神谷真希ばっかりリクエストされていて、廻はほとんど描かれて無かった(ちなみに筆者は愛川桃子をリクエストした)。

こうして筆者も長くマンガを読んでいて、思ったが一つ結論として「脇役で大人気のキャラがいるマンガはだいたい面白い」ということである。

今言ったマンガ以外でも名作「ドカベン」では主人公は捕手の山田太郎であったが、山田以上に人気があったのがサードの岩鬼正美やセカンドの殿馬一人だったし、「アイシールド21」でも主人公の小早川瀬名よりも人気があったのはキャプテンの蛭魔妖一だった。他にも「はじめの一歩」でも主人公は幕之内一歩も人気はあるがジム頭の鷹村守も人気を二分している。

こうやって見てみると漫画家で成功させたい人に一つアドバイスするとすれば(俺って何様?)、あるマンガで成功するには必ずしも主人公を中心としたキャラ設定にする必要はなく、むしろ脇役にどれだけ活きたキャラを設定するかによってそのマンガの成否が決まってくる。「絶対主人公が一番なんだ!!」という固まった固定観念を捨て、キャラが活きたマンガは大抵面白い。そこがマンガには重要である。