約1ヶ月ぶりに「スポーツの現金化」シリーズを書く事が出来るが(最近このブログを知った人はこのシリーズを知らない人もいるのでは?)、今回は高校野球について考えたい。

夏と言えばやはり甲子園。春のセンバツも盛り上がるが、やはり夏の甲子園は別格の注目イベントである。その夏の甲子園も近年は、夏休みの子供もテレビ中継の野球の試合よりも携帯ゲーム機でゲームする方を選ぶ子供も増えているので、(筆者が小学生だった1980年代に比べて)野球の訴求力が(甲子園に限らず)全体的に低減している傾向にある。

そんなこと1人ぼんやりと考えていたら、近所の新聞直販所に貼られたスポーツ新聞の裏一面に「甲子園にタイブレークを導入を検討」という文字が!その後ネットの検索エンジンで見てみると「高野連が選手の体力を考えて延長でも試合が決まらない場合はタイブレークをして、体力温存と試合の高速化を狙う」といった内容であった(新聞そのものをとってないので記憶があやふやだが)。

タイブレークをご存知ない人に説明すると、タイブレークとは野球の試合で延長で規定のイニングでも勝負がつかない時に、はじめからランナーを塁上に置いた状態で試合を始めることである。こうすることで点が入り易くなり、長いイニングでの勝敗が決まらない事がなくなるのである。このルールは本来軟式の少年野球で導入されているルールである。

このタイブレークというルール、前述のように元は少年野球から来たルールなので、本来高校野球でこのルールを考えるのは考えられないことであった。しかし2008年の北京五輪での野球競技で(星野仙一監督の時に)、IOCや試合を運営する組織からタイブレークを導入されて、当時の日本の野球人からはかなり強い違和感を感じていた部分がある。

しかしこのタイブレークというルールは現代のビジネス化したメジャー競技では(野球に限らず)、試合の高速化が時代のニーズとしてあり(ボクシングのタイトルマッチが15ラウンドから12ラウンドに短縮されたり、サッカーでも試合時間は変わらないがフィールドプレーヤーがキーパーにバックパスする際に、キーパーはボールを手で扱えないルールになったことで試合の流れそのものが高速化した経緯もある)、他のスポーツでも試合の高速化をしているので野球も高速化の流れに逆らえない部分があった(事実、野球も国際大会でタイブレークが導入されている)。

話を高校野球に戻すが、個人的に甲子園のタイブレークは賛成である(遅すぎる感もあるが)。本来レベルが桁違いに上のプロ野球でも真夏の連投なんてしないのに、どうして高校野球で真夏の連投+延長戦まで投げるのか理解に苦しむ。一部では「高校野球のドラマがなくなる」といった事を言う人もいるが、そんな人は自分が炎天下のマウンドで12イニング投げてから言いなさい。高校野球という世界が大手新聞社の一方的な興行の論理のみで今まで動いてきて、選手の健康管理をないがしろにし続けてきた今までの方が異常であった。松坂大輔も夏の甲子園で782球も投げて、メジャー挑戦後も肘にそれまでの疲労の「錆(さび・本人曰く)」がこびりついて、マイナー契約で苦しんでいた事もある。

真夏の甲子園のドラマも良いが、球界にとっての一番の受益者である球児の健康管理がこれからの甲子園には必要である。