今日午前中たまたま時間があってふらりと書店に足を運んだら、ある雑学の本がありパラパラとその本をめくってみた。そうするとその本には「日本のビジネスパーソンの内、年収600万円の人は全体の2割。言い換えればビジネスパーソンの8割は年収600万円以下である」といった内容であった。

そんな本を見てあることを思い出した。たまたま聞いていたラジオのテーマが結婚で、男性が女性に求めるのは「若さ」で女性が男性に求めるのは「年収」であり、それも女性側からすると年収600万円は欲しいという。

この女性側の要望を受け入れれば、日本のビジネスパーソンのうち結婚できるのは2割だけという計算になる。しかもこの統計は(はっきり出所を理解していないが)ビジネスパーソンなので(独身男性とは明記してなかった)、既婚男性やビジネスウーマンもその2割にはいるだろうから年収から結婚できる独身男性は今の時代5人に1人ぐらいという計算になる。

筆者はこのラジオを聞いて女性に憤りは全く感じなかったが、その一方で「結婚に自分でそんなにハードル上げると困るのは当人(女性)ではないのか?」とも感じた。

勿論年収600万円以下でも結婚するカップルはいるだろうし(というかそういったカップルの方が多数派なのでは?)、今も昔も若者は金がないものである。しかし今の若者の雇用環境の劣悪さは若者を結婚から遠ざけているように見える。事実、内閣府の平成22年度の「結婚・家族形成に関する調査」で30代前半の若い独身男性で彼女がいないのは7割に到達するというデータもある(筆者もこの調査の時期は対象年齢であったが、自分もYESである)。

今回の「若者の貧困と日本社会の在り方」シリーズで若者の貧困が日本社会全体の貧困や通貨暴落(モアトリアム)に繋がることを繰り返し言ってきたが、経団連にしろ政府にしろこの国の守旧派は本当に自分の国のことを考えているのか疑問である。

日本の大手企業はコスト削減(それ自体は重要だが)とその企業の内部留保の増加しか考えず、経済ニュースで(あるいはアベノミクスで)日本経済が好況だと言っても、上がるのは役員報酬と株主の配当だけで、雇用されている労働者の賃金は「コスト削減対象」になるので良くて横ばいで先の春闘でのベアアップも一部の企業に止まっている。

それどころか大手メーカーも若者の雇用はいわゆる非正規雇用が大半で、長時間の激安の賃金で劣悪な環境で若者をパーツのように使い捨てし、使えなくなったら「パーツや部品(新たな非正規雇用の若者)の交換」といって消耗品のように若者を使い捨てにする。しかも非正規雇用は労組にも入れないので誰も守ってくれる組織はない。

前にも言ったことの繰り返しになるが赤ん坊を作ることができるのは若い男女しかいない。察しの良い読者ならわかるだろうが非正規雇用が2000万人もいる今の時代、短期的に経済ニュースのグラフの中で景気が良くなっても長期的に見れば少子化を加速させ、国際的な競争力を急低下させるだけである。若者の非正規雇用を減らして正規雇用を確保し(600万円までいかなくても当然だが、家族形成ができる収入の正規雇用の賃金で)、若い男女が子供を作れる社会環境を作ることが重要である。うわべだけの好況のニュースなんて若者の気持ちには何の腹の足しにもならないのである。