前回は日本代表が今回のブラジル大会で1勝もできず惨敗したことを受けたことについて自分なりに考えていたことを書いた訳だが(あまり「スポーツの現金化」な内容ではないが、スポーツビジネスに通ずるという意味でご容赦下さい)、まだ代表や今の日本サッカーについて考えていることがあるのでそれを書きたい。

今回のワールドカップ(以下W杯)ブラジル大会は周知の通り日本代表は1勝もできずにグループリーグ敗退が決まった(日本云々というより今大会はアジアの凋落が激しく、ロシア大会ではおそらくアジア枠の削減が予想される)。結果が出た以上はそれを厳粛に受け止めそれでも前に進まないといけない。ただ今回の大会を見ていて思ったのは、日本代表が世界の壁に通用しなかったのは、日本代表が弱くなったというより世界のサッカーが日本代表の進化以上に早く急速に進化したように感じた。

ブラジル大会は比較的色々な試合をチェックしていたが、前回の南アフリカ大会の優勝国で今回も優勝候補筆頭に挙げられていたスペインが初戦のオランダ(前回大会の決勝と同じ組み合わせ)にまさかの1-5の大敗。ここ4年間世界のトレンドであったポゼッション(ボール保有率=試合中にボールを自チームが持っている時間を表す)サッカーがブラジル大会で完膚なきまでに潰された試合であった(スペインは前回大会も初戦でスイスに負けてたが)。

野球の変化球とサッカーの戦術という2つは時代のトレンドを表すのに似ているのだが、野球の変化球もカーブから始まり(昔はドロップと言った)カーブから、フォーク・シュートが入りこれらの変化球は多投できずに一時期廃り、その後スライダー全盛期の時代があり(その頃の高校球児が皆スライダーに良くも悪くも頼っていた)、その後野茂英雄の活躍でフォークが復活し、野村ノートからシュートの迷信がなくなりシュートを左投手は覚えるようになった。それに加えてSFFのような変化球も出てきた。

少し脱線してしまったが(汗・反省)野球の変化球にもトレンドがあるように、サッカーの戦術にもトレンドがある。それまでの日本代表は目先の勝ちに拘り(こだわり)すぎたキックアンドラッシュだったのが、ハンス・オフト監督が代表を強化する為に当時の最新鋭である近代サッカーを導入し、アジアサッカー界に存在感を示し、その後マンツーマンのサッカーと(加茂周の)ゾーンディフェンスという2つのトレンドが行き交いながら、ディフェンスラインもトルシエの頃にフラット3が主流になって、その後ラインは4バックが今のJでは主流になりここ4年間はスペイン代表のボールポゼッションのサッカーが時代のトレンドであった。

こうしてざっくりと知ってる範囲で戦術を見直してみてもサッカーの戦術も野球の変化球同様に様々な時代の大きな動きや流れから試行錯誤されているのである。日本サッカー界も世界のサッカーの濁流(だくりゅう)のような戦術や時代のトレンドに翻弄されながら、この四半世紀の間「日本のサッカー」を構築し続けてきた。

そしてこの四年間の集大成でW杯に挑んだが結果は惨敗であった。スポーツ紙を見ると行く前の楽観論から掌を返した代表バッシングが紙面を賑わせているが、彼らの記事にサッカーの本質はかけらもないので無視したい。

今日から四年間また次のロシアW杯に向かって険しい道のりが続くが、アジアのサッカーはこれからは厳しいだろうがそれでも闘いや挑戦をやめる訳にはいかないのである。W杯ブラジル大会は終わったが日本代表の闘いはこれからも続く。