スポーツの現金化 (その121・サッカー監督の下積み)

今週の金曜日(2014年6月13日)からもうワールドカップが始まる。4年に一度のサッカーの祭典で世界中の人がW杯の開催地(今回ならブラジル)に注目する。日本も例外ではなく、前回にも言ったように毎回そうだがW杯の結果いかんで国内のサッカーの試合のチケットセールスの売れ行きが決まるので、W杯の結果というのは試合による歴史的意義もそうだが、ビジネス面でも重要なのである。

しかしそんなW杯でサッカー界の華やかな部分が取り上げられているが、JリーグもW杯ほどではないが華やかな部分もあるが、そのJリーグの監督というのも一見華やかに見えて実はタフな世界である。

前東京V監督の川勝良一監督は東京Vの監督の前に5年ほどJリーグの監督の世界から離れていた時期があったという。以前サッカー専門誌で言っていたことであるが、福岡の監督を辞めてから東京Vの監督になるまでJの世界で空白期間があり、その間地元のこども会のサッカー少年団の合宿の引率をしていたり、5～6人しか集まらなかった女子サッカーの練習を見て「このチームの女子選手はデートのほうが重要なのかな」と思っていたという。そういう浪人時代を経験しながら川勝監督は東京Vのアドバイザーに就任し、後に監督にもなった(現在は退任)。

一方ファジアーノ岡山の監督の影山雅永監督もJFAのつてでマカオ(香港の隣の街でF3が市街地で開かれる都市)代表監督をやっていたことがあるという。しかし代表監督と言っても選手達は地元の(マカオで盛んな)カジノの職員とか街の消防士とか他の仕事をやりながらの兼業でサッカーをしていたという。しかもマカオ市政府はマカオ代表に十分な練習場所を用意せず、市内の陸上競技場のトラックのはしっこを使わせるだけという仕打ちもあり、これでは選手がサッカーに専念できないしアジア予選も勝てる訳がないと影山監督は怒りの抗議をし、マカオ代表の劣悪な練習環境をネット上で暴露したところ、面子や体裁を重んずるマカオ市政府が激怒したという。しかし影山監督は「マカオがサッカーで戦うのに大切なのは体裁ではない」と心を鬼にして抗議をしたという(しかし影山監督曰くマカオは生活する上では物価も安く暮らし易い街ではあるというが)。

他にも前ジェフ千葉の強化TDの神戸清雄(かんべ・すがお)もアジアや太平洋地域のサッカー弱小国(地域)の監督を歴任した(神戸監督はジェフにいた頃、クラブの看板選手を放出しサポーターから嫌がられていたが)。神戸監督はJFAからの指示でフィリピン代表監督や北マリアナ諸島(グアムやサイパン)代表監督などを歴任し今はタイにいるという。

こうして見てみると華やかなW杯で注目されている日本のサッカー界もサッカー監督は意外と皆地味な下積み期間があるのがわかる。サッカー界は派手な部分ばかりではないのである。