昨日は少し時間があったのでワールドカップに対する日本を取り巻くビジネス環境について述べたが、今の時代サッカーは(というより野球などもそうだがメジャーな競技全般がそうだが)試合での勝敗は予算で全て決まるのか?というのがサッカーファンや関係者で色々論議されているが、少しそのことを考えてみたい。

現代のサッカービジネスは一昔前のメジャーリーグやプロ野球などのようにマネーゲームの様相を呈しているとよく言われている。今シーズンのJリーグではセレッソ大阪にウルグアイ代表で2010年南アフリカ大会の得点王&MVPのフォルランが入団して年俸が3億5000万円とも6億円とも言われているが(タレント不足で外国人補強が韓国人とブラジル人ばかりでマンネリ化していると指摘されていたJの移籍マーケットで、フォルランの獲得はむしろかなりの朗報だったが)、フォルランの獲得はともかく、今のJでは上位に行くチームはほとんどが大きい親会社があってそこからしっかりした資金を出せるチームしか上位進出できない時期があると指摘されていた。

それは国内市場のみならずイングランドでは有力なスポンサーがついたマンチェスター・シティが台頭してきたり、アジアでは(不動産リーグと揶揄される)中国スーパーリーグで2012シーズンでコンカ・ムリキ・クレオといった南米人トリオでACLで勝ち上がってきた広州恒大(2013年もACLを制覇した)のような豊富な資金力で補強して(広州恒大は監督も2006年W杯でイタリアを優勝させたリッピを年俸10億円で招聘した)上位進出するチームが世界のあちこちで目立つ(余談だが今の中国サッカー界はヨーロッパの移籍マーケットを乱すと言われている)。

本当に今のサッカー界はマネーゲームなのか?地方のクラブに夢は無いのか?答えは「NO」である。2012年、2013年とサンフレッチェ広島は予算では上を行くクラブがあったのにJリーグを連覇できた。サガン鳥栖もJ1昇格後の2012年には元韓国代表の尹晶煥監督の下、ハードワークのサッカーでクラブ最高の5位(賞金圏内)に食い込んだ(2013年は12位)。少しカテゴリーは下がるが去年のJFL(今のJ3)でSC相模原はブラジル人の発掘にフロントが自腹で100万円払ったこともあったが(この選手は関東リーグ時代の選手だったが)、こうした努力が身を結び昨季のJFLでは相模原の年間予算は1億1000万円だったが、相模原の三倍の予算の金沢や町田より上位でフィニッシュした実績もある(筆者のブログ・2014年5月22日号・スポーツの現金化・その112・ブラジル人の補強に自腹で100万円!、参照)。

こうして今のサッカービジネスを様々な角度から掘り下げてみたが、サッカー界がマネーゲームの様相になっているようで意外と予算が必要条件かもしれないが、十分条件ではないことがわかった。

参考文献 サンフレッチェ情熱史 中野和也 2013年 ソル・メディア

週刊サッカーダイジェスト 2012年5月29日号、2014年5月13日号