来月(2014年6月)から4年に一度のサッカーの祭典であるW杯が始まる。先日は日本代表のメンバーの23人の名前もザッケローニ監督から言い渡され、日本サッカー界全体が戦闘モードがONになった感がある。W杯そのものも大事だがW杯の後もJリーグの観客動員というのは(大会の結果にもよるが)増えるので、そういう意味でもW杯というのは重要なイベントである。

その華やかなW杯の他にもサッカーの試合というのはある訳で、ジェフのJ2もW杯期間中もあるしその下のカテゴリーも同様であろう。

先日サッカー雑誌で興味深い記事があったが、今年から創設されたプロの3部リーグであるJ3。そこで神奈川県で第5のJクラブであるSC相模原というクラブがあるが、そこの代表を務める望月重良氏(元名古屋・市原)が地域リーグや下部リーグ運営の苦悩を語ってくれた。

J1・J2のような上位クラブ、特にジェフのようなオリジナル10のような親会社がしっかりお金を出したり、また親会社のない市民クラブでもJ2から上のクラブ経営で経営努力や経営戦略次第でしっかり費用対効果の出るリーグなら、外国人選手の補強も渡航費などは会社(クラブ)の必要経費で落とせるだろうが、地域リーグクラスになると入場料収入(チケットセールス)やスポンサー収入にも限界があるため、こういった外国人補強の為の渡航費もクラブ代表の望月氏の自腹だったという。SC相模原ではクラブの強化部長であるポストも代表の望月氏が兼任でカバーしていることである。

SC相模原が関東リーグ(当時5部)に在籍していた時、ブラジル人のCBのファビオを獲得し翌年には横浜F・マリノスに売却を成功している。このファビオの成功もあって他のJクラブのスカウトもSC相模原の視察をするようになったという。

このファビオというブラジル人の補強も前述のように強化部長を兼任している望月代表が、ブラジル現地のクラブへ渡りダイヤの原石を見出だした選手であり、ブラジルまでの渡航費やその他諸々の経費も結局100万円(!)が望月代表の自腹になった。望月代表は「全部が損得ではなくて、自分自身の生き甲斐、情熱もある」と言っていたが、そのサッカーに対する情熱というのは誰でも真似できるものではないものである。クラブとしても地域リーグクラスになると費用対効果などあってないようなものであるのでクラブの関係者の身銭を切って、情熱や尽力を尽くして補強するのはよくある話である。望月代表自身も2008年のクラブ発足から3年間は無報酬だったという。

華やかなサッカー界でサッカービジネスに憧れる気持ちも分かるがその足元は血の海である。

参考文献 週刊サッカーダイジェスト 2014年5月13日号 2014年版 サッカーとお金の話