先日テレビで大阪の大相撲の春場所を見ていたら、相撲協会を定年する親方がインタビューを受けていて、その親方の現役時代の四股名(しこな)が出身地の山から取った四股名だったと言う。

そして土俵上に隠岐の海が上がった後に、テレビのアナウンサーがポツリと「そう言えば最近は隠岐の海や親方のように出身地を四股名にする力士がめっきり少なくなりました」と言われて、言われて見れば現役の和製力士の中でも出身地を取った四股名で思い浮かぶのはその隠岐の海ぐらいであって確かに思い浮かばなかった。

先日引退した把瑠都や琴欧洲のような力士は別にして確かに思い浮かばない。引退した和製力士でも(筆者が相撲を見るようになったのはこの3年ぐらいなのもあるが)思い浮かぶのは土佐ノ海ぐらいである。後かなり昔の力士で霧島と言う力士も出身地が由来の力士である(霧島の場合は隣の両国駅から電車の車中から大きな看板に「ちゃんこ霧島」の文字が見えるから覚えていただけであるが)。

この地方の地名が由来の四股名が激減したのは以前に比べて働き盛りの成人男性のいる家庭そのものが東京とその周辺の都市圏内に一極に集中していったからではないだろうか?

筆者(独眼鉄)もJリーグのビジネスなどでスポーツと地域・地方経済の在り方を考える機会は多いが、結局今の角界も弟子を集めるのも首都圏で本場所の取組も大都市圏、地方への巡業も地方経済が逼迫して利益率が上がらすに昨今では経済発展する東南アジア(筆者のブログの2013年10月24日号・スポーツの現金化・その31・「大相撲ジャカルタ巡業」参照)に行くほうが利益率が高くなり、力士になる若い衆も興行の市場も海外へ進まないとやっていけなくなり、角界もいろんな所で「空洞化」や「グローバル化」が進んでいる気がする。

今の時代には地方都市には仕事が激減し若者がどんどん首都圏に集中していって、社会の中でも多様性が減っていってよくも悪くも均一化しつつあるように感じる。

角界に限らず日本全体をスポーツによって元気にさせて、活性化させる為には何の世界でもそうだが、経済や労働力・現金が大都市圏内の狭いミクロなエリアにのみに循環するのではなく、巡業でも何でも地方都市にもお金を落ちるマクロに循環する仕組みを(相撲に限らず)、構築していくことがこれからのスポーツ界にとって必要な取り組みなような気がする。(相撲の場合は特殊だが)選手層の薄い競技の場合、狭い社会の中で成立するとどんどん閉鎖的になって手詰まりになる。そこを意識する必要を感じた。