先週末に大田区体育館でボクシングWBCフライ級タイトルマッチがあり王者八重樫東(やえがし・あきら)がメキシコ人挑戦者を退けて防衛を果たした。

基本的にボクシングの世界タイトルマッチというのは、普通は防衛戦に焦点が行くものだがこの日の防衛戦は様相が違った。このタイトルマッチの前座に出場した世界2階級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア・通称ロマゴン)がミニマム級・ライトフライ級に続く3階級目のベルトの挑戦機会を熱望し、この日もフィリピン人の若手にあっさりKO勝ちを果たした。

このロマゴンというボクサーはボクシングに興味のない一般人の方々には分かりにくいかも知れないが39戦39勝33KOと軽量級では破格の強打者であり、あまりのスラッガーぶりに下の階級では防衛戦では誰も挑戦者の名乗りを挙げず、(本来なら防衛戦をやりたいが)相手がいなくてノンタイトル戦を繰り返している選手で90年代のはじめの一歩を知っている人なら、鷹村守とリカルド・マルチネスを足した後2倍にして軽量級ボクサーにした感じである。

長くはなったがそんなロマゴンはとにかく強すぎて相手がいない。そこで前述のWBCフライ級王者の八重樫東が対戦の名乗りを挙げて、元ボクシング関係者のブログだと8月にも対戦か?とも言われている。

実はこのロマゴン、元々最初のベルト(WBAミニマム級)をパシフィコ横浜で新井田豊から持ち去り、防衛戦でも高山勝成(現IBFミニマム級王者)と激闘を演じ、筆者(独眼鉄)含め日本人のファンも多い選手である。

ここで出てくるのが5月にIBFフライ級タイトルに挑戦する井岡一翔である。元々井岡が持っていたWBAライトフライ級暫定タイトルは同正規王者ロマゴンとの統一戦を前提に承認されたタイトルマッチで、だからこそ日本人のボクシングファンは暫定タイトルの王座決定戦にも納得したが、結局井岡一翔vsロマゴンの試合は流れた為ファンからかなり大きな失望をさせていったのである。

今ボクシングのネットの掲示板を見ると井岡一翔株は急降下している。逆に井岡に王座統一戦で敗れた八重樫東株は急上昇している。

これを見ていると井岡ファミリーがロマゴンを避けているように見えるがコトはそう単純な話ではない。

前述のはじめの一歩で一歩のライバル千堂が「ライバル対決と言って流れた話がいくつあると思っているんだ(敢えて関西弁の表記は避けました)」と言い、ボクシングのビッグマッチが決まるかどうかは千堂曰く「縁」としか言い様がないのである。

言われて見ると東洋のリングでは昔の韓国が強かった時も柳明佑vs張正九が対戦しなかったり、少し前の日本でも徳山昌守vs長谷川穂積が決まらなかったり伝統的にビッグマッチが決まりづらい地域なのかも知れない(それが東洋のリングの停滞に繋がるのだが)。北中米のリングは犬猿の仲のプロモーター同士もビッグマッチになると手を組むのが一般的だが、それでもリカルド・ロペスvsマイケル・カーバハルのように流れた試合もある。

加えて井岡一翔の場合はテレビ局がTBSでロマゴンは日テレ(+WOWOW)とテレビ局の縛りも流れた原因の一つかも知れない。八重樫のいる大橋ジムは特定のテレビ局の繋がりがなかったのが逆に幸いしたのだが、今回のロマゴンの動向を見てボクシングのビッグマッチ成立の難しさを感じた。

お知らせ 今筆者(錦糸町の独眼鉄)は今の不器用貧乏時代のHNをブログのタイトル内に残していますが独眼鉄の名前もある程度このブログをコアに読んでくれている読者には覚えて貰ったと思うので近々不器用貧乏の名前を外す積もりです。基本的に検索エンジンに「錦糸町の独眼鉄」と入れれば出るタイトルにする積もりです。予めご了承下さい。