昨今のテレビの経済番組や書店で並んでいる経済関連書籍を見ていると「中国が2010年にGDPで日本を追い抜き世界第2位に」とか「シンガポールの1人当たりのGDPは既に日本のそれを追い抜いた」など2000年代半ばぐらいまで見向きもしなかったアジア各国のものづくりや経済発展で経済ニュースを発信している側は今の中国や韓国、東南アジアが経済発展を加速させて行って全く日本と違って問題がないような報道をしていて筆者(独眼鉄)は違和感を覚える。

アジアでも人口で超大国の中国やインドはおいといて、前述のシンガポールは元々貧困層の多い東南アジアでも例外的に重化学工業→アジアの広範囲の金融センターとして経済発展してきた国で国民1人当たりの所得は元々高い国であった。

では逆に聞きたいがシンガポール人の有名人で誰の名を思い浮かべる?日本なら野球のイチローやサッカーの中田英寿・中村俊輔・本田圭佑他にもF1の小林可夢偉やゴルフの石川遼・松山秀樹、先日のソチ五輪でフィギュアスケートで金メダルを獲った羽生結弦など日本を代表する日本人アスリートというのは男性だけでもこれだけ綺羅星のようにいる。サッカーのヨーロッパ組はそれこそ両手に下らない程沢山のプレーヤーを日本のスポーツ界は輩出している。

翻ってシンガポールはどうだ?今自分の頭の中でシンガポール人アスリートの中で「あいつはすげぇ」「あいつを知ってる」という選手や競技は何かあるかと考えたら、シンガポール人には申し訳ないが筆者には誰も思い浮かばないのが正直な感想である。同じ東南アジアでフィリピンの場合、例外的に親米国とあってボクシングでマニー・パッキャオがいたり、ビリヤードでエフレン・レイズという世界で活躍するアスリートはいるが人数や種目数では日本のそれとは限りがある。

考えて見れば日本もバブル期はかつて同じだった。経済発展はしたものの日本球界がメジャーリーグで活躍できるかと言えば「絶対無理!」と思われ、サッカーは一部の好事家(こうずか)の特殊な趣味でヨーロッパでの活躍は想像もつかなかった。

こうして見てみるとシンガポールの場合、リュー・クアンユーの30年の長期政権のもとでマレーシアからの分離独立から都市国家として繁栄していった。しかし古今東西(日本もそうだったように)短期間の経済発展には必ず負の要素も生まれる。シンガポールの場合、経済発展によってアジア域内で地位を確立するためにスポーツ界や文化的な発展を海外に普及させるのは断念せざるを得なかった。2008年の北京五輪でシンガポールは卓球で(リュー・クアンユーと同じルーツの)中国客家族であるために中国人卓球選手を「(国家元首と)同郷」としてシンガポールに帰化させて、メダリストを出し物議を醸したことがあったが、経済発展すれば人間は全ての飢餓・渇望から解放される訳ではないのである。

お知らせ 今筆者(錦糸町の独眼鉄)は今の不器用貧乏時代のHNをブログのタイトル内に残していますが独眼鉄の名前もある程度このブログをコアに読んでくれている読者には覚えて貰ったと思うので近々不器用貧乏の名前を外す積もりです。基本的に検索エンジンに「錦糸町の独眼鉄」と入れれば出るタイトルにする積もりです。予めご了承下さい。