昨日はボクシングのチケットと外食でのご褒美について考えたので今回は野球やサッカーの試合での無料招待券について考えてみようと思う。
先日のブログでも言ったようにスポーツビジネスにとって最大の収入はチケットセールスである。しかしその競技に興味が無い人々に2000~3000円の金を払って屋外でスポーツを見て貰うという概念自体よくよく考えてみればかなり乱暴な考え方なのかもしれない。
その為プロ野球やJリーグ、野球でもここ何年か産声を上げた独立リーグでもまず自分たちの競技(野球やサッカー)を会場で見て貰うためにクラブや球団は無料招待券の配布を考えるのである。
しかしこの無料招待券というのは実は諸刃の剣のような性質があって観客動員数がアップするメリットもある一方で、地元のファンが無料招待券を期待して有料のチケットを買わないリスクもある。
この無料招待券で成功したのはJ1のアルビレックス新潟である。アルビレックスは新潟県内を本拠地として商圏を持っているが、無料招待券を配る際に平日や長期休暇(GWや夏休み)に被らない試合は本拠地のビッグスワン近郊の地区に無料招待券を配り、長期休暇の時の試合では上越や長岡のような遠方に無料招待券を配るという。またアルビレックスは自治会や会社内で回覧板を回して「招待券申込み書」を出してそこに希望者の名前と枚数を記入させることも無料招待券のばらまき防止に繋がったという。
プロ野球でも北海道日本ハムファイターズがアルビレックス新潟のやり方と同様に(この2つのスポーツチームに繋がりがあるかは知らないが)球団が地元の区役所や市役所と連携して地域を限定して、行政に希望者の名前と枚数を記入して比較的空席が多いビジターの内野席を配るといい、またある地域に無料招待券を配ったら次に配る街は出来るだけ遠い街に招待券を配るように球団は考えているようである。これは近い街に配るとその街の地元住民が「次は○△町に配る」と予測され、その街の住民が有料のチケットを買わなくなるリスクがあり、そのリスク回避の為の策である。これはファイターズがJリーグの某クラブから学んだ策だと言う(具体的なクラブ名は筆者も知らない)。
しかしこうやってプロスポーツチームが色々知恵を絞って無料配布券を地元の商圏の住民に効果的に配っているのがわかるが、無料招待券の配布で失敗したプロ野球球団もある。大阪近鉄バッファローズである。近鉄は首都圏に比べて商圏の小さい関西で阪神のような絶対的な球団に対抗するために(後に合併するオリックスもあるが)、無料招待券のばらまきをして結果的にスポーツビジネスの最大の収入源であるチケットセールスが減少して、結果として球団を手放すという最悪のシナリオを辿ることになった。
こうやって見てみると無料招待券というのはファンやサポーターからみると有難い、ある種の臨時収入に似たニュアンスもあるが(筆者もジェフのファンクラブから無料招待券を貰ったが)無料招待券というのは愛するチームを(近鉄バッファローズのように)失うリスクがあることも留意しなくてはならないとも感じた。
参考文献 Sport Management Review 2007 vol.6 いまこそ「スモールリーグ」に学べ!
崖っぷち社長の挑戦 湘南ベルマーレに懸ける夢 眞壁 潔著 草思社 2013年
監督・選手が変わってもなぜ強い? 北海道日本ハムファイターズのチーム戦略 藤井 純一著 光文社新書 2012年
野球難民 吉岡 悠著 長崎出版 2005年
先日のブログでも言ったようにスポーツビジネスにとって最大の収入はチケットセールスである。しかしその競技に興味が無い人々に2000~3000円の金を払って屋外でスポーツを見て貰うという概念自体よくよく考えてみればかなり乱暴な考え方なのかもしれない。
その為プロ野球やJリーグ、野球でもここ何年か産声を上げた独立リーグでもまず自分たちの競技(野球やサッカー)を会場で見て貰うためにクラブや球団は無料招待券の配布を考えるのである。
しかしこの無料招待券というのは実は諸刃の剣のような性質があって観客動員数がアップするメリットもある一方で、地元のファンが無料招待券を期待して有料のチケットを買わないリスクもある。
この無料招待券で成功したのはJ1のアルビレックス新潟である。アルビレックスは新潟県内を本拠地として商圏を持っているが、無料招待券を配る際に平日や長期休暇(GWや夏休み)に被らない試合は本拠地のビッグスワン近郊の地区に無料招待券を配り、長期休暇の時の試合では上越や長岡のような遠方に無料招待券を配るという。またアルビレックスは自治会や会社内で回覧板を回して「招待券申込み書」を出してそこに希望者の名前と枚数を記入させることも無料招待券のばらまき防止に繋がったという。
プロ野球でも北海道日本ハムファイターズがアルビレックス新潟のやり方と同様に(この2つのスポーツチームに繋がりがあるかは知らないが)球団が地元の区役所や市役所と連携して地域を限定して、行政に希望者の名前と枚数を記入して比較的空席が多いビジターの内野席を配るといい、またある地域に無料招待券を配ったら次に配る街は出来るだけ遠い街に招待券を配るように球団は考えているようである。これは近い街に配るとその街の地元住民が「次は○△町に配る」と予測され、その街の住民が有料のチケットを買わなくなるリスクがあり、そのリスク回避の為の策である。これはファイターズがJリーグの某クラブから学んだ策だと言う(具体的なクラブ名は筆者も知らない)。
しかしこうやってプロスポーツチームが色々知恵を絞って無料配布券を地元の商圏の住民に効果的に配っているのがわかるが、無料招待券の配布で失敗したプロ野球球団もある。大阪近鉄バッファローズである。近鉄は首都圏に比べて商圏の小さい関西で阪神のような絶対的な球団に対抗するために(後に合併するオリックスもあるが)、無料招待券のばらまきをして結果的にスポーツビジネスの最大の収入源であるチケットセールスが減少して、結果として球団を手放すという最悪のシナリオを辿ることになった。
こうやって見てみると無料招待券というのはファンやサポーターからみると有難い、ある種の臨時収入に似たニュアンスもあるが(筆者もジェフのファンクラブから無料招待券を貰ったが)無料招待券というのは愛するチームを(近鉄バッファローズのように)失うリスクがあることも留意しなくてはならないとも感じた。
参考文献 Sport Management Review 2007 vol.6 いまこそ「スモールリーグ」に学べ!
崖っぷち社長の挑戦 湘南ベルマーレに懸ける夢 眞壁 潔著 草思社 2013年
監督・選手が変わってもなぜ強い? 北海道日本ハムファイターズのチーム戦略 藤井 純一著 光文社新書 2012年
野球難民 吉岡 悠著 長崎出版 2005年