以前自分にとってボクシングが全て、よく筆者(独眼鉄)が言うボクシング教原理主義者だった時、ボクシング専門誌は一種の聖書でボクシングのチケットは水戸黄門の印籠のような時期があった(今は跡形も無くなったが)。

そのボクシング教原理主義者の時、ボクシング専門誌を読んでいたら帝拳ジムの浜田剛史代表(元WBC・SL級王者)が当時のボクシングのチケットは基本的に一枚3000円(最安値)の頃に、半額の1500円で(世界戦ではない)普通の興行を見せてくれた。

これは当時の筆者にとってはかなり有難いことであって、2000年代後半の帝拳ジムの興行は(暇を持て余していたのもあったが)ほぼ皆勤賞であった。

そのボクシング専門誌で浜田代表が「今の後楽園ホール(注=2000年代後半)のボクシングの興行は3000円です。この価格は一見さんにはハードルが高いです。しかしこれを半額の1500円にしたら、ボクシングに少しだけ興味があってちょっとボクシングを見てみようかな、という人でも外食での豚カツ一皿を我慢して見られる値段です。そういう値段設定でこの1500円興行をしました」と言っていたのを覚えている。

筆者(独眼鉄)は基本的に外食はしない。するとしたら牛丼かサイゼリヤぐらいの人間なのだが、この外食での豚カツ一皿という金銭感覚が微妙に心に残っている。

ある豚カツ好きな人がいて、いいことあったら奮発して豚カツの人が、その豚カツのご褒美もマンネリな人にこういう「たまには豚カツ一皿我慢して後楽園ホールへ」という金銭感覚はスポーツを現金化する感覚としては重要である。

しかしこの帝拳ジムの1500円興行も現在ではやっていないのである。筆者の2013年9月30日のブログ「ボクシング界のスダグフレーション」でも言ったように今のボクシング界の後楽園ホールの興行では3000円の興行は実質は帝拳ジムと新人王予選ぐらいで、他のプロモーター(興行主)は4000円スタートで、もっと凄いところでは5000円スタートの興行もある(世界戦はおろか日本・東洋タイトルも懸かってないノンタイトルの興行で!)。

一般の人から見れば世界戦でも5000円はあり得ないと考えられるが現状のボクシングの興行はそうなのである。1500円の興行というのはJリーグのゴール裏の席(約2000円)や両国国技館での大相撲の一番安い席(2100円)より安価だったのである。

ここ一年で帝拳ジムの興行で3000円は払う気はしないが1500円なら行っても良かった興行があったのも事実で、こうやって見ると興行主は1500円の現金収入機会の喪失でもあったのである。スポーツビジネスにとって最大の収入源であるチケットセールスであるが、そこを再考して貰いたい。