先週(2014年3月1日・2日)から始まったJリーグ。日本各地で熱戦がスタートしたサッカー界で、今年はワールドカップイヤーということもあり(それまでも激しかったが)いつもの年以上の熱戦が期待される。そこで今回はそのサッカー選手の年俸について考えてみたい。

華やかなプロスポーツの中でも特に目立つJリーグ。ピッチの上で躍動する彼らに日本全国のサッカー少年少女は皆憧れる。しかし筆者(独眼鉄)自身も深く考えてなかったのだが、下世話な話で申し訳ないが彼らはかなりステータスのある高給取りなのかと勝手に思っていた節がある。

しかしJリーグを始めとしたサッカービジネスというのは、そんなに利益率の高いビジネスモデルではない。何度も言うようだがJリーグのチームのホームゲームは多くて月3日程度。3日間の営業日で残りの28日分の収入を確保しなければならない利ざやの取りづらいビジネスなのである。その上サッカー選手というのはどんなに有能な選手でも出場機会があってナンボの世界で、人材の流動性の高い業界なので選手の引っ越し費用もバカにならないビジネスなのである。

こうしたサッカービジネスという儲かりづらい構造のため、Jリーグとしては選手の年俸の高騰を抑えるためにアマチュアからJリーグ入りする選手の年俸に規制をかけているのである。

基本的にJリーグ入りする新人Jリーガーの年俸はC契約と言って初年度の年俸は480万円に抑えられているのが現状である。しかし大学や高校に籍を置いた状態でJリーグや日本代表でプレーできる選手(強化指定選手)もいて、そういう選手はA契約(J1で450分、J2で900分出場)が可能だが(それでも初年度は700万円が上限)、そうした選手はかなりレアなケースで一般にJリーグ入りしたサッカー選手というのは基本的にC契約からスタートするのが普通である。

こういったJリーグによった年俸高騰の規制により(今までのスポーツビジネスの歴史を見てもアメリカのメジャーリーグのように選手の年俸高騰により選手とリーグが衝突してストライキに発展して、結果国内のファン離れを招いたケースもある)、選手の年俸が低く抑えられているが故に人件費は抑制できるが国内のサッカー環境に魅力を感じず、中京大中京高校からJリーグを経由しないで直接アーセナルに入団をした宮市亮選手のようなケースもある。

こうしたJリーグの配慮によりJリーガーの初年度の年俸は抑制されているが(勿論選手がチームの中心になり出世することによりC契約からA契約となりA契約になって長く活躍すれば1000万円以上の契約も普通だしそれまで以上の「夢」も可能である)、それでも地方のJ2クラスのクラブでは財政危機のニュースは毎年のように起こる。

今月から始まったJリーグ。しかし何度も言うが華やかなピッチの上で躍動する選手達の足元はある意味血の海なのかもしれない。

参考文献 サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ、儲けられない日本のクラブ 小澤一郎著 KANZEN 2012年