スポーツの現金化 (その63・女もすなるスキージャンプ&ボクシング)

来月(2014年2月)にはロシアでソチ五輪がある訳だが、筆者(独眼鉄)は寒いのが苦手な為ウィンタースポーツにはほとんど興味も知識もなかったのだが、筆者自体物知らずだったのだがもともとスキーのジャンプという競技自体女性がやることがタブーな競技であったのだという。

雑誌Number722号の2009年2月19日号で女子スキージャンプ競技のノンフィクションの記事があったが、そこにはジャンプの女子選手の苦悩が表現されていた。もともとスキージャンプは男子だけがやるもので前例がないし、もし何か怪我でもあったら責任の所在はどこにあるといった(スキーの世界に限った話ではないが)日本社会特有の責任のたらい回しやことなかれ主義によって、彼女らの競技者としての門戸はかなり狭まっていた。

その後日本は歴史的に外圧に弱い国なのか海外のスキーの女子ジャンプ競技が発足したのと同時に、独自に活動していた女子選手に参加を打診しスキーのジャンプ競技が産声を上げた。しかし女子のジャンプ競技も競技として取り組む以上お金が掛かる。スポンサーとなってくれた企業も経営状況の問題からスポンサーから撤退を余儀なくされ、その企業で働いていた選手も退社して失業保険で食い繋ぐ日々を余儀なくされた。女子ジャンプの監督(男性)はスポンサーになる企業を探すために北海道から東京へ40社近く自前で回り、監督曰く「100万円は下らない」ほど私財を費やし、それでもスポンサーのつてが無いので監督はイカ釣り漁船に乗る予定だったという。

その後神戸の医療機関がスポンサーになって競技者としての目処(めど)はたったが今高梨沙羅が五輪の壮行会に出ていたが、彼女らの足下にも金策や競技者としての葛藤の血の海が流れていたのである。

翻って筆者がやっていたボクシングという競技ももともと女子がやる競技ではなかったのである。「はじめの一歩」でボクシングに興味を持った女子ボクサーはある一定数いたが、彼女らが試合をする受け皿がなかったのである。日本のコミッションも危険だ責任の問題だと言って最初は試合の機会を与えなかった。そのため女子ボクシングは創世記はキックボクシングの団体が独立系団体として女子の試合をやっていたので、最初の頃は女子ボクシングの試合は試合の記事がボクシング専門誌ではなく格闘技雑誌に載っていたのである。またメキシコ人のボクシング女子世界王者も「メキシコでも女子は世界王者でもファイトマネーどころか身銭を切って試合してる」と言って女子選手の苦悩を語っていた。近年スポーツと性差(ジェンダー)の差が急速に縮まっているが、環境は整えないといけないようである。