前のブログでもそうだがこのタイトルを見ただけでは「何のこっちゃ解らん」だろうが、こういう珍妙なタイトルにしたのも理由があるのでとりあえず読んでもらいたい。

この珍妙なタイトルの意味はなんなのかと言うとざっくり言えば「フロントの苦悩」という事である。今の時代サッカーでも野球でもスポーツが産業化され多額の金銭が動き、そのチームがある地元の人に雇用を創出するまでになったスポーツビジネス。筆者(独眼鉄)自体もその世界に憧れがあった時期もあったが、色々文献を漁っていくと憧れだけではやっていけない世界のように感じる。

まずGM(ゼネラルマネージャー)の方からいくが筆者(独眼鉄)が一時期馬鹿ハマりしたスポーツノンフィクションの本で「マリオネット」(山岡淳一郎著・2002年・文藝春秋)と言う本があったが、このノンフィクションでは読売クラブ(現・東京ヴェルディ)のGMをやっていた佐藤英男(通称セニョール)という主人公が、当時日本リーグ時代の読売クラブで同クラブが先駆的にブラジル人選手を獲得するためにブラジルのグアラニというクラブに交渉しに行った。そのクラブに在籍するペレイラというブラジル人が欲しかったが、クラブの会長との話し合いは平行線を辿っていたがセニョールがクラブの一室から予約したホテルに戻ろうとした時、クラブの会長が「泊まっていけよ」と言って猟銃をセニョールに突き付けたという。セニョールも命乞いせず「NO」といい、結局セニョールはその後も粘り強い交渉の末にペレイラを獲得できた。この話は1970年代の出来事で現在は流石にないだろうがこの話はサッカービジネスは夢やおとぎ話の世界ではないことを知った。

一方で社長の尻の方はどうかと言うと、「社長溝畑宏 天国と地獄」(木村元彦著・2010年・集英社)で大分トリニータの社長をやっていた溝畑宏が自治省のキャリア官僚の座を捨てて地方のサッカークラブの社長になったが、親会社を持たない地方都市の弱小クラブで社長の仕事と言えば平たく言えば金策に走る事である。そうした中でスポンサー候補の某企業の社長が「俺は官僚が嫌いだ。お前(溝畑)の尻に俺の煙草の火をつけさせろ」と言った所、溝畑社長は普通の人間ならまず出来ないようなことを(恥を恥と思わないような所があって)平気でする人間で実際に尻を出したと言う。

筆者(独眼鉄)もサッカーは好きで、現在J2でガッチリ居場所を見つけたジェフの強化部に愚痴の一つでも言いたいぐらいだが(本当にそういうことを書き連ねたら広辞苑並の分厚い書籍になるだろう)、こういうサッカーノンフィクションを読んでフロントの厳しさを理解しておかないといけないと思った。