先日、ハードディスクに溜め込んでいたWOWOWのボクシングの番組でバーナード・ホプキンスというボクサーの試合を見た。ホプキンスは今48才(!)のボクサーで日本のアスリートだと野球の山本昌やサッカーのキングカズと大体同年代である。

そのホプキンスの映像を見て解説のジョー小泉さんが「ホプキンスの体は勿論ボクサーだからある程度絞れているけど、ボディービルダーのような体型ではない。近年のボクサーの体は筋肉をつけてマッチョになって複数階級制覇をしているがホプキンスはあまり階級を上げていない。」といって少し思う所があった。

ホプキンスと同年代で天才で身体能力の塊のようなロイ・ジョーンズJr.が一回ヘビー級に上げて筋肉をつけてから下の階級に行ったら(その当時WOWOWに加入していなかったので具体的にはわからないが)、見た人達が口を揃えて「ロイは全盛期の面影がなくなった」と言っていた。近年のボクシング界の世界的潮流として筋肉をつけてビルドアップしたボクサーが増えているが、ボクサーに限らずアスリートの肉体改造は単に筋肉をつけてパワーをつけることなのかと少し疑問を持った。

誤解して貰いたくないがボディービルと言う競技を否定する気は毛頭ない。ただ球技でも格闘技でも筋肉をつける=肉体改造(トップレベルで稼げる選手寿命としての長寿)なのかと言うことである。

今、手元に雑誌Numberの724号(2009年3月19日号)で山本昌が沖縄キャンプでダッシュ系の走りを重視すると言っていたし、同雑誌の770号(2011年1月27日号)でキングカズは食に関してパフォーマンスが落ちてきた2004年頃から食生活を見直し、肉は赤身で油をなるべく使わず炭水化物も必要な分だけ摂る(カットはせずご飯は茶碗1杯程度)と、我々庶民には想像できないストイックな生活をしているが、その一方で彼らが取り立ててマッチョかというとそういう話は聞かない(野球やサッカーは服を着てする競技だし脱げばかなり絞れているのだろうが)。

ただ個人的に気になるのはアスリートととして選手寿命を伸ばし「長寿」としていられることと、筋肉をつけてボディービルダーのような体になるのが同義語なのかということである。野球でもサッカーでも格闘技でも競技に必要な筋トレは必要なのかもしれないが(その競技の性質にもよるが)、マッチョになる=トップ選手になって選手寿命も長寿になる、というのは違う気がする。団体競技ならポジションによっても違ってくるが闇雲に筋肉をつけることが正解ではないように思えてならない。アスリートに必要な筋肉の付け方を個人個人が考えるべきである。