筆者(不器用貧乏)は今、スポーツビジネスのブログをよく書いているが、スポーツビジネスの経営を考えて一番上手くいっているのはアメリカだと思う。

筆者は何でもアメリカが正しいとは思わないが、スポーツビジネスの観点からアメリカのそれはスポーツを現金化するためには一番合理的な気がする。ただアメリカも最初からスポーツビジネスが上手くいっていた訳ではない。

Millionaire(百万長者=選手会)vs.Billionaire(億万長者=オーナー側)という、野球が金持ち同士の喧嘩と揶揄されメジャーリーグのナショナルパスタイム(国民的娯楽)の危機となった時期や、1919年のブラックソックス事件(メジャーリーグ・ワールドシリーズでの八百長事件)等のスポーツを現金化するためのある意味「割礼」のような時期を経ていた。

アメリカのプロスポーツはサラリーキャップ(その競技の全利益の一定の金額を選手の収入として保証する制度。利益の一定額を選手に保証することで選手会とオーナー側の両者が一蓮托生となり、運命共同体のシステムとなる制度)やドラフトウェーバー制度(前年の最下位の球団からその年のドラフトの指名を優先させる制度。弱い球団から指名させることによってリーグ全体の戦力が拮抗し、リーグ全体のコンテンツとしての魅力が増す仕組み)とアメリカのスポーツビジネスはリーグ内に対戦相手はいるものの、リーグ全体が一蓮托生となり相手は目の前のチームではなく、相手はハリウッドや洋楽、ドラマなどの他のコンテンツとしているところである。

以前日本のサッカー雑誌でフランスのサッカー記者が「サッカー界もサラリーキャップを導入すべきだ。」といって、筆者が愕然(がくぜん)としたのを覚えている。文化の中心はヨーロッパで、ヨーロッパの中心はフランスだと思っているフランス人がアメリカのビジネスモデルを推進するとは正直驚きだった。サッカービジネスも一見上手くいっているように見えるが、サッカーがただの娯楽から世界中が注目するメガスポーツイベントに急激に変化するのに、ソフト(選手側)の変化がついていけてないのである。サッカーが魅力的なコンテンツなのは重々承知だし、皆知っていることだがサッカービジネスもこれから変わらないといけないのだろう。