先日、野村克也監督の著書「負けかたの極意」(2013年 講談社)を読んで参考になる所があった。

ヤクルト時代に橋上秀樹(はしがみひでき)という外野手がいて出場機会が少なかった選手だった。飯田哲也、秦真司といった強打者がいる上に橋上自身右投手の横の変化球に対応できていなかったからである。そこで橋上は野村監督がよく言う「自分が駒ならどう使われるか考えろ。」ということであった。橋上は思考した結果辿り着いたのは左投手に強くなるということであった。飯田も秦も左打者で左投手とは相性が悪かった。その為橋上はバッティング練習でも打撃投手も左投手にして、課題を持って打撃練習に取り組んだ。野村監督に「左投手には橋上。」ということを期待して。

その対策のおかげもあってか野村監督は左投手にはスタメンに橋上を使うようになり、その後阪神、楽天でも選手・コーチとして野村監督に仕え、現在は巨人の戦略担当コーチになり、第3回WBCのコーチにもなったという。

これを読んで橋上秀樹という選手は現代社会に必要な「思考力」がある人だなと思った。監督なら自分(橋上)をどう使うか?自分は何に活路を見いだすか?という学歴云々ではない本質的な頭の良さを持っている。何度も筆者(不器用貧乏)は言うがこれからの時代は思考力の時代である。上からの指示待ち人間ではなく自分ならどうするかということをしっかり思考し、対策を練って実行する人、そういう人がこれからの世界には必要とされるのであろう。