先日、ユニクロの柳井正さんの著書「一勝九敗」という本を読んだ。以前柳井さんが経済番組に出演していた時、十戦十勝を目指さないといけないが実際には一勝九敗で、この一勝がその企業の核となる商品(ユニクロだったらフリースやヒートテック)になるという。この言葉を聞いて商売の本質を突いていると思った。あと以前見た「ガイアの夜明け」でTPPに対抗する農業として六次農業(生産[一次]×加工[二次]×販売[三次])を国も推奨する新たな農業として今行っている農業だというが、そこで自社ブランドのアイスクリームの製造に成功して、東南アジアの富豪からも注文が来て、地元の雇用の創出にも繋がった北海道の酪農家がガイアの夜明けのスタッフに商品開発はどうでしたか?と尋ねられて、酪農家曰く「一勝九敗」とユニクロの柳井さんと同じことを言っていた。今まで色々な本を読み雇用と商品開発の関係性を見てきたが、この「一勝九敗」という言葉が一番しっくり来る感じがする。スポーツの世界でも「まず動け。そこから失敗が生まれ、そして成功が生まれる」(須藤豊・大洋ホエールズ)という言葉があり、まず失敗があってそこから成功があるのである。今の日本社会は失敗に対して狭量になっているが何の世界でもそうだが、まず失敗があってそこから成功なのである。成功の綺麗な所ばかり見ていたら駄目なのである。

参考文献 「一勝九敗」柳井正 新潮文庫 2006年

Number 722 言葉力 文藝春秋 2009年