以前筆者(不器用貧乏)の中学生時代のクラスメートから年賀状を貰ったことがある。そいつは血液が相模湾の海水でできているような生粋のDeNAベイスターズファンなのだが、彼は尾花監督時代にもチームが上手くいっていなかったことに不満を漏らしていた。自分は未だにオリックスバファローズを「ブルーウェーブ」と言いそうになるぐらいプロ野球には浦島太郎状態だったが、ある程度持論を言ってみた。「プロ野球というのは特に最近は監督だけ代えても駄目なんだ。親会社(オーナー)がしっかりチームの強化に掛かる資金を出して、編成部(サッカーなら強化部)が足で稼いでいい選手を見つけて来て、現場の監督・コーチが選手にたっぷり土を舐めさせるような猛練習をする。その三位一体があって初めて強いチームができるんだ。野村克也監督にしても阪神時代はそれができなくて失敗し、ヤクルト時代はそれができたから成功したんだ。」というと、彼は納得したような返事を送ってくれた。自分は野球にも今12~13年ぶりに興味はあるが(前述のように浦島太郎状態なのだが)、ここ4~5年はサッカーの方が興味があった。でも野球でもサッカーでも結局前述の三位一体ができていなければ勝てないのである。以前NumberでJ1のサガン鳥栖が大学1年や2年の有望選手をチーム練習に合流させて徹底的に鍛えてハードワークできる選手にさせてプロデビューさせると言っていたが、潜在能力はあるのに燻って(くすぶって)いたハーフナー・マイクや豊田陽平も鳥栖で才能を開花させた。そういう風に強化部がいい選手を取ってきて、現場がこってりと汗をかいて鍛える。それができないと今のプロスポーツはやっていけないのである。チームに有名監督だけ来ても意味がない。親会社がしっかりお金を出して、編成部が日本中回っていい選手を取って(以前ビリー・ビーンのマネーボールでメジャーのスカウトは「10万キロ動き回って、100軒の安宿に泊まり、デニーズで数えきれないほど食事して」という文章があったが)、指導者が鍛え上げるということをしないと今のプロスポーツは勝てないのである。監督だけの問題ではないのである。
参考文献 Number 796「GMに学べ。」2012年 文藝春秋
「マネーボール」マイケル・ルイス著 中山宥=訳 2006年 ランダムハウス講談社
参考文献 Number 796「GMに学べ。」2012年 文藝春秋
「マネーボール」マイケル・ルイス著 中山宥=訳 2006年 ランダムハウス講談社