近年アメリカのサッカー界が着実に力を着けてきている。以前イギリス人ジャーナリストのコリン・ジョイス氏が「アメリカのサッカー界はイングランドほどではないが強い。しかしイギリスの野球は素人の集まり」と言っていたが、アメリカのサッカーも力があるのは確かである。観客動員数でもアメリカの四大スポーツ(NFL,NBA,MLB,NHL)に匹敵するぐらい(R25によるとMLSはNHLより観客動員数が多いともある)、アメリカではメジャーになりつつあるという。実際アメリカのサッカーの競技者人口も世界トップレベルにあるという。しかしではアメリカでサッカーは完全にメジャースポーツなのかというとそうでもない。なぜかというとアメリカでスポーツが真の国民的娯楽になる為には、アメリカ人のヒーローが必要なのである。NBAならマイケル・ジョーダン、MLBならベーブ・ルース、ボクシングならモハメッド・アリやジョージ・フォアマンとアメリカ人のヒーローがいることによってアメリカのスポーツは国民的娯楽として昇華する。アメリカでも一時期サッカービジネスを定着させようとする動きがあった。1967年に発足し、1984年に崩壊したNASL(北米サッカーリーグ)である。開幕当初はペレやベッケンバウアーが加入して人気を博したが徐々に低迷してリーグは解散した。経営の失敗はサッカー界にはアメリカ人のヒーローがいなかったからである。アメリカのスポーツビジネスというのは、アメリカ人のヒーローの存在が不可欠なのである。アメリカのサッカーMLSも一時期ベッカムが入って盛り上がったが、アメリカのスポーツ界で必要なのはアメリカ人のヒーローなのである。ヒーローは作り出そうとして生まれるものではない。そこにアメリカのスポーツビジネスの難しさがあるように思える。
参考文献 Sport Management Review (SMR) 2008 vol.9 データスタジアム(株)
参考文献 Sport Management Review (SMR) 2008 vol.9 データスタジアム(株)