今日はスポーツの現金化という観点からものを考えて見てみる。以前ある親しい人に「Jリーグと大相撲はプロスポーツの現金化という意味では、(言葉は悪いが)非合理な側面もある。」と、言ったことがある。どういうことだという質問に対して筆者はこう答えた。
「まず大相撲から言って見よう。大相撲は筆者の家の近所の両国という町に、国技をするための建物(両国国技館)がある。しかし実際にそこで相撲の本場所をするのは、365日中45日だけである(一年の8分の1)。残りの320日を大相撲以外のイベントで国技館の稼働率をあげなければならない。サッカーも同じだ。1ヶ月のうちサッカーのホームゲームをやれるのは多くて3日。この3日で残りの28日分含めた1ヶ月分の収入を稼がなくてはならない。自分(筆者)がサッカーや大相撲が非合理と言ったのは存在が無駄という意味ではなく、スタジアムの稼働率の観点から非合理と言いたいのである。」と言って納得してもらった。Jリーグも大相撲もスポーツビジネスと言えば聞こえはいいが、こうやって数字にすると両方共現金化しづらいビジネスである。(ちなみにプロ野球はペナントレースではホームゲームは72試合である。サッカーよりは試合数はあるが、それでも一年の5分の1である。)
そうしたら人によっては「試合数を増やせばいいではないか。」という人もいるかもしれないが、ことはそんな単純ではない。相撲取りという職業は手の指を骨折したり、首がむち打ちになっても番付が落ちる恐怖から相撲を取る世界である。これ以上本場所の取組を増やせば、力士は皆死滅してしまう。その位力士という職業は過酷な仕事なのである。
サッカーにしても、今年祝日(曜日は平日)のサッカーの試合を見たが、明らかにジェフの選手の動きが悪かった。ジェフにベテランが多いという理由もあるだろうが、それを差し引いてもプロサッカーという世界も、試合を見せるのは週一回が限界なのだということを感じた。
そのため大相撲でも、サッカーでも(大相撲なら観客に)筆者も初場所で食べたが国技館内でちゃんこ鍋を食べさせたり、(サッカーでは)スタジアムグルメを充実させるために食の施設を充実させたり、色々知恵を絞っている。また子連れの家族や既婚女性が来やすいように赤ちゃんのおむつを替える場所も用意されている。これもスタジアムの稼働率と集客力を上げるためには重要なことである。
昨日(2013年6月25日)に「スポンサー」というタイトルで現在のスポーツビジネスというのは、スポンサー抜きではやっていけないということを言ったが、その一方でスポーツビジネスの現場の人達もサッカー(or相撲)を現金化するための努力をしなければならないのである。サッカーも相撲もスタジアムの稼働率という面では合理性を欠くのかもしれないが、数に限りがあるイベント開催日での集客力向上のために、イベントでそのスポーツを現金化しなければならないのである(物凄く難しいことであるが)。