ボクシングというスポーツは勝負事の世界でも更に特殊な世界のように感じる。
基本的に野球でもサッカーでも何でも相手は選べないスポーツがほとんどである。でもボクシングは(勿論全員が選べる訳ではないが)ある程度は選べるのである。
極論でいえば、タイトルマッチの選択試合で20戦20勝(17KO)の右構えの選手と20戦14勝(6KO)5敗1分の左構えの選手なら、前者のキャリアの綺麗な無敗の右構えの選手とやりたがる選手もいる(以前昔の世界王者で挑戦者をサウスポー避けていた選手もいた)。
ある意味ボクシングのマッチメークというのは矛盾と誤算がないとできないのかもしれない。SL級(63.5キロ)とL級(61.2キロ)の選手が62キロの契約ウェイトで戦う時、赤コーナーのSL級の選手は「こっちの方が体格があってパンチ力で有利だ。」と思い、青コーナーのL級の選手は「こっちの方が減量が少ない分スタミナがある。」と思う。赤コーナーも青コーナーもそれぞれ「自分が勝つ」と思いどちらも勝算がある。しかし勝つのは一人であり必ずどちらかの勝算は誤算になる。そういう意味でボクシングというスポーツは勝負事という特殊な世界の中でも、対戦相手を調節できるという意味で更に特殊な世界であると思う。