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High Fidelity~ふわふわlife~

元下っ端経営コンサルタントの日々の日記




先月鑑賞した作品です。

デヴィッド・ミショッド監督の『アニマル・キングダム』を観てきました。


ストーリーは以下のとおりです。

メルボルン。17歳の少年ジョシュアは、母の死により、祖母ジャニーンの家に引き取られた。
だがその家に住む家族は皆、強盗や麻薬売買など凶悪犯罪で生計を立て、ジャニーンもそれを黙認していた。
真面目だったジョシュアも徐々に犯罪の世界に巻き込まれていくが、
警察の特別捜査班は彼を一家から引き離し、その証言で一家の一網打尽を狙う。
やがて、警察への憎悪と復讐の連鎖の中で、追い詰められた一家はしだいに自滅の道をたどっていくが・・・。
(『アニマル・キングダム』 フライヤーより)


感想ですが、
最後まで展開が読めずに楽しめた作品で素直に面白かったです。
よく考えられて構成してあるなあと感心してしまいました。


犯罪で生計を立てている一家の栄枯盛衰を上手い具合に切り取って映し出しており、
3人の狂った兄弟それぞれが違ったキャラだったのも良かったです。

こんな一家に育てられることになる平凡な高校生はそれは大変だなあと思います。
(まあ母親もヘロインのオーバードーズで死んでいるので普通の高校生ではないですが・・・)


オーストラリア映画に対して深い造詣がないので恐縮ですが、
レベルの高さにびっくりしています。


似たような題材、ストーリーはありそうなんですが、
ここまで緻密に練られた作品はそれ程ないかなあと思います。

ラストになるまで主役のジョシュアが何を考えて行動しているかが掴めなかったのですが、
ラストのシーンを観て見事に納得させられますし。


ジャッキー・ウィーバーの存在感あるグランマぶりにはもちろん驚かされますが、
出てくる出演者それぞれ演技が上手いため、作品が締まった感じに仕上がっている気がします。

それにしてもジャッキー・ウィーバーといい、
『ザ・ファイター』のメリッサ・レオといい「ゴッド母ちゃん」的な役に当たりが多いです。


★・・・4.0/5.0









こちらも先月観た作品です。

イ・ヒョンスン監督の『青い塩』を観てきました。


ストーリーは以下のとおりです。

ソウルの伝説的な闇組織のボスだったドゥホンは、ヤクザの世界から足を洗い、
母の故郷プサンに戻ってレストランを開いて穏やかに暮らそうとしていた。
通い始めた料理教室で、セビンと出会う。
一見、普通の少女に見えるセビンは、かつて優秀なライフル競技の射撃選手だったが、
ある事件がきっかけで闇組織の便利屋となり、ドゥホンの動向を探るために近づいていた。
無愛想な態度とは裏腹に、優しい手料理をふるまうセビンを見守るドゥホン。
ドゥホンの温かい人柄に触れ、戸惑うセビン。
少しずつ距離が近づいていく二人だったが、ついにセビンはドゥホンを殺すように命じられる。
「こんな料理を作る子に、俺が殺せるか?」
その正体を知りながらも、いままさに殺し屋に身を落とそうとしているセビンの未来を守るため、
ドゥホンは再び組織と対峙する・・・。
(『青い塩』 フライヤーより)


感想ですが、
ラストがちょっとなあという感じでした。

それまでシリアスな展開で進んでいたのに、
最後の最後で作風が変わったかのような演出をされるとスーッと冷めてしまいます。
(まあこういった展開が好きな方もいるとは思いますが・・・)


主演のソン・ガンホはさすがに存在感があるというか、
おどけたおじさんの姿と伝説のヤクザの姿を見事に使い分けて飄々と演じ切っている感があります。
彼以外の役者が演じたら凡作として終わってしまうような気がします。


セビンを演じたシン・セギョンも頑張っていましたが、
役柄の条件設定が厳しすぎて少し浮いているかなあという感はありました。
(誰が演じてもこの役柄は難しいという気がしますが・・・)


あとはドゥホンの舎弟を演じていたチョン・ジョンミョンはカッコよかったですし、
『ハウスメイド』で異様な存在感を出して、
他の出演者の演技を食ってしまったユン・ヨジョンが今回も不気味な役で笑ってしまいました。
(この方は普通の役柄を演じても不気味な感じになるような気もしますが・・・)


まあこの手のストーリーだと凄惨な感じになりがちな韓国映画の中において、
生々しい感じがなくデートなどでも抵抗なく鑑賞できるので女性受けしやすい作品かなあと思います。

そういう意味では僕にとっては物足りなさがある作品です。


★・・・2.5/5.0









こちらも先月鑑賞した作品です。

若松孝二監督の『11、25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』を観てきました。


ストーリーは以下のとおりです。

「仮面の告白」「金閣寺」「憂国」など、次々に話題作を発表し、人気絶頂にあった文豪・三島由紀夫。
時は学生運動全盛期。三島は文筆業の傍ら、
民族派の若者たちを組織化し、有事の際には自衛隊と共に決起すべく訓練に励む。
しかし、警察権力の前に、自衛隊は出動の機会すら得られない状況が続き、
苛立ちを募らせれる三島と楯の会の若き隊員たち。そして、ついに、決断の時が訪れる・・・。
(『11、25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』 フライヤーより)


感想ですが、
史実として三島事件の詳細を知らなかったので、僕自身は楽しめました。
主演の井浦新さんと三島由紀夫の外見的イメージが違いすぎるので、そこは微妙でしたが・・・(笑)
(でも井浦新さんの演技は素晴らしかったと思います)


学生たちの純真無垢な思いがストレートに伝わってくる作品で、
60~70年代の学生運動の熱気がヒシヒシと伝わってきました。


特に森田必勝を演じた満島真之介さんの白熱した演技が良かったです。
(女優の満島ひかりさんの弟さんです)


昨年観た左翼側の学生運動を描いた『マイ・バック・ページ』とは
対照的な学生たちの姿が興味深かったです。
(『マイ・バック・ページ』を観てなかったら、もう少し今作の評価が低かったかもしれません)


あれだけの学生から慕われる三島由紀夫という人物は、
人を惹きつける魅力にものすごく溢れた人だったのかなあと思いました。


ただ、現代に生きる僕自身が感じるのは『革命』や『クーデター』という言葉が
一人歩きしてしまっているような活動だなあと感じてしまいます。

三島由紀夫という人物がなぜ右翼的思想に傾倒するようになったのかという理由が大して描かれていないこともあり、
ストーリー上唐突さが否めないというか、狂気の沙汰のように映ってしまうのも要因の一つかなあと思います。


あとはストーリー上さらっと流されてしまったのですが、
楯の会の組織としての結束のもろさ(仲間の裏切りetc.)をもう少し詳細に描いたほうが
ストーリーに深みが出てきたのかなあと個人的には思います。


60年代の学生運動の様子を全く知らない人が史実を知る意味では良い作品だと思います。
左翼側を描いた『マイ・バック・ページ』と両方観たほうがいいかなあと感じます。



★・・・3.0/5.0