合衆国の支配に飽くなき抵抗を続けた、アパッチ族の首領ジェロニモの戦いぶりを描く。

脚本は「ダーティー・ハリー」や「地獄の黙示録」のジョン・ミリアス。ロバート・デュバル、ジーン・ハックマン、そして若い頃のマット・デイモンも狂言回し役で登場している。ジェイソン・パトリックが演じる、インディアンに理解を示す物静かで頼りがいのあるチャールズ・ゲイトウッド中尉が魅力的。
また、ジェロニモを演じたウェス・ステュティは、アパッチ族ではなく、純粋なチェロキー族らしい。

アパッチを攻撃する騎兵隊に、斥候役のインディアンが存在する。映画の中でも「強いものに付くインディアンもいる」と語られているように、一口にインディアンといっても実に多種多様な部族があり、一枚岩ではないようだ。広いアメリカ大陸の中では当然か。

ジェロニモは英雄であり、インディアンたちへの政策上の配慮だろう、死刑になることはなかった。だが反乱が終結した時、斥候役として協力していたインディアンたちはすべて軍籍を剥奪される。そして大勢のものが辺境の居留地に追いやられ、制服者による自分勝手な都合がまかり通る。
インディアンを描いた映画は多数あるが、非抑圧者として描かれているものも結構ある。日本でも古代では熊襲や隼人、近世ではアイヌへの民族支配の歴史があったが、少なくとも映画で描かれた記憶はない。
(NHKが大河ドラマの「炎立つ」や「アテルイ伝」など阿弖流為を描いたものはあった。)
この辺りは商業的にまず受けないことが安易に想像できるが、日本人が支配・非支配という感覚に淡白な所があるからだろう。
(アメリカによる原爆投下と占領、ソ連の理不尽な侵攻・シベリア虜囚などに対して国民的な抗議運動がなかったこと、また一方で中国・朝鮮への支配に対する罪の認識の薄さなど…これについては彼らの言い分も過大だけどね…が挙げられる)

話が逸れかかってきた。
この映画は上記のようにそれなりに考えられさせるものがあり、しっかりした俳優陣のお陰で最後まで見飽きることはなかった。しかしほぼ同時期に作られた「ダンシング・ウィズ・ウルブズ」ほどの感動はなかった(ちなみにこのブログで映画鑑賞記を書き出してから評価5をつけたことはないが、あの映画には5をつけてもよい)。
合衆国の兵士だった主人公が命を救ってくれたインディアン社会に完全に同化し、「風になびく髪」という名前をもらって最後はインディアン側の兵士として騎兵隊とも戦う…という域まで描かれていないからかな。
でも決して凡庸な作品ではないので評価3.5。