
今話題の大河『べらぼう』と同じ時代。蔦重を阿部寛が演じていて、当然ながら剽軽な横浜流星蔦重とは全く別の重厚なキャラクターとなっている。他にはすでに名を挙げている絵師の先輩歌麿に玉木宏の姿が。
若き日の北斎を柳楽優弥、壮年期を田中泯が演じる。生まれも育ちも明らかではなく、自分の画風も持たない鼻っ柱だけ強い北斎が、当代一流の絵師として成長していく。晩年は流浪の旅に出たり中風を患って再起不能かと思われる状態にもなるが、画房で娘や弟子たちとともに死ぬまで絵筆を握るのである。
時代や場面が急にガラリと変わり、登場人物もその後の生き様の表現が全うされないまま話は進んでいく。最後のシーンでは若き日と老境の北斎が対話するという演出となっている。芭蕉が如く、人生とは有為転変しながら、何かを追い求める漂泊の旅であることを示唆しているように思った。