これまでいい人ばっかり演じてきた草剪剛がヤクザを演じるのだから、題名からしてもペーソスの効いたコミカルな作品だと勝手に思っていたが、実際はまるで違っていた。

鋭い眼光と斜に構えた暴力的な言動など、まさに演じているのは極道者。
この変わり身がすごいと思い、草剪という役者を見直した。


それから、ストーリー。
一旦は世話になったが、高齢の要介護者を食い物にしている暴力団極鵬会のやり方についていけず、反旗を翻す主人公・翼彦一。

そこには高齢者の過酷な現実が炙り出されており、自分にも将来必ずやってくる「老いの行く末」という問題を改めて考えさせられた。


数年前にテレビドラマがあったらしいが、そちらの方は見ていない。

身をおいた暴力団を相手に大立ち回りを演じた際、突然黒木メイサがベンツで助けにくるシーンがある。

草剪と黒木が出演していたドラマを見ていた人は違和感がないかもしれないが、ドラマとは違うパラレルな世界の出来事なのだから、拙者にとってはかなり唐突な登場のしかたでひっかかりが残った。


葉子(安田成美)のことを好きだったのか、そうではなかったのか。
たぶん好意を持っていたのだろうが、最後は葉子の同級生で弁護士の八田(香川照之)に託して最後は逃亡しようとする。


暴力団の報復によって焼かれてしまった高齢者ハウス「うみねこの家」に仲間は戻ってくるが、建物はないのでこれからどうしていくのか。土地も暴力団の持ち物だし。


この先どうなるのか、観る者に不安を持たせたままで物語は終わってしまう。

厳しい現実を元に、この後の展開の想像を観る者に投げかけているのかもしれないが、このあたりが釈然とせず、ちょっと消化不良である。

うみねこの家のヘルパーで、アル中・彦一に毒舌を吐くババアの役のりりイも秀逸。
あのシンガーソングライターの彼女が、こんな役をしていることに驚いた。


評価3.5。