
先天的に聴覚に障害のあるケイコは、プロボクサー。
セコンドやレフェリーの声もゴングの音も聴こえないハンディキャップも、練習量とガッツでカバーして2戦2勝の戦績を持つ。
だが60年続いた老舗ジムの閉鎖が決定し、信頼してきたジム会長が入院した時、ケイコはボクシングを続けるかどうかを悩んでしまう。
最後の試合で敗北した後、結局ジムを移籍してボクサーを続けるのかどうかは観客の想像に任せる形となる。
コーチとのコンビネーションの回転の速さ、スパーリングの臨場感など岸井が撮影のためいかにボクシングに打ち込んだかがわかる。
また試合で相手に強打を食らった時に「ウッ」といううめき声のほかはほぼ声に出さず、手話や表情・態度のみで演技しているので俳優にとってかなり難しいことだったと思うが、ぶっきらぼうな面のあるケイコを好演している。
それにしても「目を澄ませて」というタイトルは、ケイコの目を澄ませている状態のことを指しているのか、ケイコへの励ましの言葉なのか、どっちだろう。