薔薇を眺めた後は、エレベーターに乗って二階に行く。
そこにはカフェウィーンがある。
このカフェは唯一日本でウィーン市やウィーンカフェ協会の承認を受け、ウィーンさながらのカフェの雰囲気と味を楽しめる店だ。
やはりカフェヤウゼを楽しむことにする。
ヤウゼというのはオーストリアではおやつのことだ。
昼下がりコーヒーとケーキを愉しむ。
コーヒーはもちろんカフェメランジェにする。
ウィーンでコーヒーと言えばこの泡立てたミルクを入れたコーヒーを飲むのが一般的だし、これがまた美味しい。
一番食べたかったアプフェルシュトルーデルは林檎の季節が終わり、メニューにはなかったので、ケーキはザッハ・トルテとカルディナール・シュニッテンを注文した。
カフェメランジェとケーキが銀のお盆の上に載せられ届けられる。
盆の上の水の入ったグラスの上にスプーンが横に載せられてくるのがウィーン式だ。
ウィーンのカフェでおじいさんがコーヒーカップを持つまねをしてメランジェを飲んでみる。
カップの持ち方は様にはなっていないが、メランジェは美味しい。
アプリコットのジャムの効いた本格的なザッハ・トルテに添えられた生クリームをつけて食べる。
生クリームをまとったショコラーデが濃厚で美味しい。
カルディナール・シュニッテンはウィーンの伝統的なモカのケーキだが、黄色い卵をたくさん使った生地がすこぶる美味しい。
確かウィーンから持ってこられた新聞はさみがあったはずだが…と思い、店内を探してみると…
日経新聞がはさまれたものが入口におかれてあった。
ウィーンではこの木枠にはさまれた新聞を客が朝カフェでメランジェを飲みながら読んでいた光景を思い出す。
しばしあの頃のウィーンに時と空間をワープさせもの思いにふける私であった。