映画「リトル・ダンサー デジタルリマスター版」 | champagne-bar-tritonのブログ 映画と観劇と浜田省吾

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福岡市にある、「シャンパンバー トリトン」のオーナーです

夢を持つすべての人に贈る、勇気と感動の青春ドラマの大傑作。
不朽の感動作が、デジタルリマスターで23年ぶりにスクリーンに蘇る。


もう大、大、大好きな作品で、何度も見るたびに涙している!
イギリスで舞台化されたものも見たし、内容も分かっているけど。
ミュージカル好きにはたまらない作品、久しぶりにと鑑賞した。


映画「リトル・ダンサー デジタルリマスター版」

 


1984年、イングランド北東部の炭鉱町。母を亡くした11歳のビリー。
炭鉱労働者の父と兄、認知症が進んだ祖母と暮らしている少年。


厳しい労働条件を巡り、ストライキが決行され不穏な雰囲気。
常に警察と労働者がぶつかり合っている、時代背景が分かる。


ボクシング教室に通わされているビリーに、ある転機が訪れる。
バレエ教室のレッスンに興味を抱き、密かに参加するように。


やがてビリーは、ウィルキンソン先生に特別な才能を見出される。
バレエに夢中になり、彼女の指導の元メキメキと上達していく。


閉塞的で小さな田舎町で、誰もが貧しく将来に希望を見出せない。
衰退していく炭鉱産業に、人々の不安と不満と焦りは募る一方。


そんな中、自分を開放し力強く激しく踊るビリーが素晴らしい。
自己表現を躍動感あるダンスに込め、生き生きと踊る姿が感動的。


ビリーを演じるジェイミー・ベルが、とても可愛くて魅力的。
どんなに成長しても、彼は永遠にリトル・ダンサーだと思う。


ビリーはバレエと出会ったことで、退屈な日々を輝かせていく。
一人の少年の成長物語であり、サクセスストーリーの青春ドラマ。


家族に内緒にしていたが、父にバレて激怒され反対されてしまう。
時代的に男がバレエなんて、という偏見と差別による先入観がある。


ビリーの友人に、性自認に悩む少年がいる等もさらりと盛り込む。
性の多様性を描いた意味でも、時代の先駆けとなった作品だと思う。


先生は、ロンドンのロイヤル・バレエスクールへの入学を勧める。
ビリーも望むものの、家庭の事情もあり父の理解を得られない。


それぞれの思惑が交錯し、ぶつかり合う親子の姿が悲しく切ない。
可能性を封じられてしまったビリーの、怒りともどかしさと絶望感。


だがある日、父もビリーの才能を目の当たりにして変化を見せる。
ビリーの夢は、やがて家族共通の大きな夢となり期待を背負うことに。


後半は、見事に家族愛の物語に昇華しており感動で涙が止まらない。
ビリーの夢を叶えようと、信念を曲げてでも応援しようとする父。


妻を失い孤独だった父が目覚めてからの行動は、崇高で美しい。
夢を諦めない挑戦の物語でもあり、家族の愛と絆に震えっぱなし。


新たな世界に進む子の戸惑いと高揚、送り出す親の心配と寂しさ。
どちらの心情も分かり過ぎて、痛いほど突き刺さってたまらない。


ラストは、成功を手にした姿に家族共々安堵し感動させられる。
踊る姿がかっこよくて、ワクワクと興奮する大傑作に大満足。


何度見ても面白く、夢を追う素敵さを教えてくれて楽しめる。
時代の鬱屈を吹き飛ばすビリーの活躍を、改めて見れて良かった。