映画「フェラーリ」 | champagne-bar-tritonのブログ 映画と観劇と浜田省吾

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イタリアの自動車メーカー、フェラーリの創始者の伝記ドラマ。
F1界の帝王と呼ばれた男の情熱と狂気を描く、衝撃の実話。


映画「フェラーリ」

 


イタリアの自動車メーカー、フェラーリの創始者エンツォ。
1957年の夏、業績不振で会社経営は危機に瀕していた。


1年前、息子ディーノの死により妻ラウラとの夫婦関係は破綻。
一方、愛人リナとの間に息子ピエロが生まれるが、認知せず。


ライバル企業との水面下の熾烈な争いが、丁寧に描かれていく。
レースで名声を得て車を売る、勝敗の行方による影響は大きい。
彼は優しい一面もあるが、レースでは非情になるしかなかった。


ラウラとは共同経営者なのだが、関係は最悪にこじれている。
そこでエンツォは勝利にこだわる情熱のあまり、狂気に染まる。


車への可能性を追求し続ける、エンツォのアダム・ドライバー。
渋くかっこよく、創始者の情熱と狂気、苦悩と葛藤を熱演。


母親と正妻が住む邸宅と、愛人宅を行ったり来たりのクズ男。
だが、厳しい勝負の世界から一時の安らぎを求めるのも分かる。


男の弱さと狡さに人間味があり、子供を愛するところも魅力的。
リナとラウラの狭間で、濃厚で複雑な愛憎劇が繰り広げられる。


ラウラのペネロペ・クルスも、意地と強さを見せて素晴らしい。
怒りと悔しさを滲ませながらも、うまく操っているようだった。


エンツォの謎に包まれたプライベートを中心に、当時を再現。
愛憎渦巻く人間ドラマが展開し、中盤まではやや地味な展開。

 


再起を誓うエンツォは、ミッレミリアに全てを賭けて挑むことに。
イタリア全土1000マイルを走る、壮絶で過酷な公道レースである。


当時、車の性能的にもレースは常に死と隣り合わせの状態だった。
少しのミスも事故に繋がり、危険を承知で命がけで臨んでいる。


英雄たちの栄光の影にある、多くの犠牲に支えられている現状。
ドライバーの勇気と覚悟もスゴイが、乗せる側の決意もスゴイ。


クライマックスでは、猛スピードで疾走するレースが描かれる。
迫力と臨場感あふれる映像と音響で、圧倒的な熱量だった。


ダイナミックなドライバー目線の、驚異の映像体験が味わえる。
レースカーには詳しくないが、圧巻のシーンの連続だった。


そして、まさかの事故から見物人を巻き込む大惨事に発展。
本格的な事故の描写がリアルで凄まじく、恐怖を覚えた。


これが最後になるとは、まさに節目となる激動の年だった。
ラストは、その後のエピソードが語られ、静かにエンディング。


エンツォの手腕と思いやりが分かり、温かい余韻を残す。
F1の帝王と呼ばれた男の、知られざる衝撃の実話を楽しめた。