三谷幸喜作・演出の舞台を見て来ました!シティ劇場にて。
登場人物は3人、言語は二つ、真実はひとつ。
密室で繰り広げられる、男と女と通訳の会話バトル。
三谷幸喜が張り巡らせる言葉の世界。それは真実なのか思惑なのか。
舞台「オデッサ」
苦戦しているようだったが、見事に「満員御礼」となってた。
こんなデカいの、初めて見たわ。よほど嬉しかったのか。(笑)
休憩なしで、1時間45分という構成。
ワンシチュエーションもののストプレなので、妥当なところ。
今回の席は、前から2列目だけど右ブロで斜めから見上げる感じ。
それでもかなり近くで見れたし、良席で良かった。
舞台はアメリカ、テキサス州オデッサ。観光地ではない田舎の町。
通訳として派遣されて来た、語学留学中の日本人青年、通称スティーブ。
柿澤勇人さん、久しぶりだな。スタイル良くて、なんか可愛いんだよな。
ある殺人事件が起き、捜査に当たることになった警察官が通訳を依頼。
彼女は日系人だったが、まったく日本語が話せなかった。
宮澤エマさん、小柄で可愛らしいが、今作では珍しく気の強い女性像。
事件の容疑者として拘留されたのは、一人の日本人旅行客の男。
彼は逆に、全く英語を話すことが出来なかった。
そんな3人が集まり、密室で事件の取り調べが始まる。
2人の時は日本語で話すが、3人の時は警察官と通訳は英語。
後方の壁に、字幕スーパーが映し出されて展開していく。
柿澤くんもエマちゃんも、めっちゃ流暢な英語が素晴らしかった。
ネイティブで綺麗な英語で話すのがお見事で、感心しちゃった。
旅行客は鹿児島出身と分かり、通訳と同郷で話が合った。
二人がベタベタな鹿児島弁で会話するのが面白くて、愉快。
迫田孝也さんは実際に鹿児島出身、イントネーションもバッチリ。
方言に違和感が無くて、色んな顔を見せるのがスゴイと思った。
通訳は彼が犯人じゃないと確信するが、早々に罪を自白。
そこでそのまま通訳せず、ウソの自供を伝えて現場は大混乱。
言葉が通じない警察官と男の狭間で、必死の弁明が披露される。
全てを知るのは通訳のみ、どれが真実でウソなのか探っていく。
その過程で、男の供述の矛盾点をつき、犯人じゃないと主張。
まるで探偵になったようなミステリーとなり、事件の真相に迫る。
やがて、旅行客の過去や、なぜ罰を受けたいのかが明らかに。
少しずつ少しずつ、通訳と一緒に真相に近付くワクワク感がある。
さらに、警察官の過去や、ここまで苦労してきた経緯が分かる。
方言、アクセントによる地方訛りは、万国共通で難しいもの。
通訳もまた、言葉の壁に苦労してきたことで互いに歩み寄る。
言葉の壁は障害となり人を隔てるものだが、同時に人を繋げるもの。
言語にまつわるあれこれが面白くて、なるほどな、の連続。
実に巧みな「言葉遊び」が繰り広げられ、言葉を自在に操る。
そして、通訳の推理は的中し、事件は解決したかに思えたのだが。
旅行客の驚愕の真実が明らかになり、全てが根底から覆る。
ラストにアッと驚くどんでん返しが隠されており、衝撃の結末。
旅行客が明かす真実の告白に、着地点が見えずハラハラドキドキ。
最後に、前半の伏線があのような結末をもたらすとはビックリ。
アルマジロさえ罪深い。実に皮肉的でいや~笑った~。
めちゃくちゃ面白かったし、三谷幸喜は天才やな、と感心した。
英語と日本語を駆使して、ここまで言葉の世界を面白くするとは。
ひたすらセリフの応酬による会話バトル、ユニークで楽しかった。
不思議なタイトルの持つ意味が明かされ、深くて感心至極。
カテコに入るとスタオベとなり、大盛り上がりで感動的だった。
舞台挨拶は一言も無かったけど、面白かったので大満足。
チケット代金11000円。舞台左に一人、ピアノの生演奏付き。
演者3人によるこじんまりとした舞台なので、妥当なところ。
演じる役者陣も素晴らしいクオリティで、これぞプロだと思ったし。
色んな言葉の問題を含みつつ、見事な喜劇になっていて可笑しかった。
事件の謎解きに迫る、サスペンスフルな展開も楽しめた。