フランス国王ルイ15世の愛人だった、ジャンヌ・デュ・バリー。
18世紀ベルサイユの宮廷を舞台に、彼女の生涯に迫る歴史ドラマ。
映画「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」
貧しい私生児として生まれたジャンヌだが、教養を身につける。
成長した彼女は高級娼婦となり、デュ・バリー子爵に囲われる。
生い立ちや幼少期のエピソードから、順を追って描かれていく。
若かりしジャンヌを演じた女優らは、確かに可愛く美しかった。
やがて彼女は類まれな美貌と知性で、社交界の階段を駆け上がる。
そしてついに、時の国王ルイ15世と対面を果たすことに成功。
ルイ15世は瞬く間にジャンヌに恋に落ち、ベルサイユ宮殿に招く。
マイウェン自身が監督と主演を務めており、思い入れは分かるが。
スタイルは良いが、絶世の美女というには少し苦しい気がした。
ルイ15世は、労働者階級だった彼女を公妾として迎え入れる。
堅苦しいマナーやルールを無視し、タブーを破る奔放なジャンヌ。
保守的な貴族から反感を買う一方で、宮廷に新しい風を吹き込む。
王の寵愛を受けたジャンヌは、ベルサイユの女性の頂点へと君臨。
ある女性のシンデレラ・サクセスストーリーで、実話の伝記モノ。
愛と波乱に満ちた壮絶な彼女の生涯を、見事に再現していて驚く。
ベルサイユ宮殿のロケーションも、絢爛豪華かつ厳かで素晴らしい。
シャネルが手掛けた美しい衣装や装飾品の数々も、見どころのひとつ。
贅を尽くした宮廷の暮らしぶりが分かり、奇妙な風習が可笑しい。
美男で問題児、最愛王の異名を持つルイ15世に、ジョニー・デップ。
セリフが少ない中で、王である貫禄と孤独と重圧を醸し出していた。
自由に振る舞うジャンヌが新鮮で、安らぐのかも、と思わせた。
しかし、王太子妃マリー・アントワネットが嫁いできて立場が弱まる。
かねてよりジャンヌの存在を妬み疎んじていた、ルイ15世の娘たち。
マリー・アントワネットを味方につけ、一層対立を深めていく。
それでも優しく公平な、王太子が超イケメンでかっこよかった。
だが、ルイ15世が病に倒れたことでジャンヌは追い詰められていく。
したたかにのし上がっていった、野心家の女性のイメージだったが。
宮廷を追われても、二人にはしっかり愛があり悲しく切ない幕切れ。
栄光を極めたものはやがて転落していく、世の流れの常であるが。
成功者は嫉妬に晒される苦悩が分かり、何が幸せなのか考えさせられる。
最後まで毅然と振る舞い、運命を受け入れたある意味敗北者なのかも。
その後のエピソードが最後に語られるのも興味深く、皮肉的で衝撃的。
史実に忠実に描いており、スキャンダラスな愛の内幕を楽しめた。