映画「テッド・バンディ」 | champagne-bar-tritonのブログ 映画と観劇と浜田省吾

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福岡市にある、「シャンパンバー トリトン」のオーナーです

アメリカ史上、最も凶悪な連続殺人鬼テッド・バンディの衝撃の真実を描く。
シリアル・キラーの語源となった殺人鬼が、最後に告白した裁判記録にも残されていない真相とは。
彼に殺されなかったたった一人の女だけが知る真実が、今明かされる。


ザック・エフロン、めっちゃくちゃ大好きなので、楽しみにしていました!
これまでの爽やかなイメージを脱却し、悪のカリスマとも評される人物を演じています。


映画「テッド・バンディ」

 


1970年代アメリカで、30人以上の美しい女性ばかりを惨殺したとされる、テッド・バンディ。
IQ160の頭脳と美しい容姿で、司法・メディアを翻弄した稀代の殺人鬼。
余罪は謎に包まれ、本当の被害者の数は誰も知らない。


3度死刑判決を受けるが、無罪を主張し、自らが弁護人となって法廷で徹底抗弁を繰り広げた。
その裁判の模様はテレビで生中継され、全米の注目を浴びた。


・・・となると、R15指定だし、さぞ残忍な殺戮場面が繰り返されるのかと思いきや、そうではない。
今作は、身近にいた恋人、リズの回顧録より、リズの視点から見たテッドが描かれる。


なので、リズと同じく、最後まで本当に彼が犯人なのか分からず、混乱してしまう。
ずっと疑心暗鬼なままの状態で、だからこそ最後の衝撃が突き刺さる。


物語は2人の出会いから、事件が発覚して裁判に至るまでが展開していく。


テッドは爽やかなイケメンで、紳士的、出会ってすぐに恋に落ちた二人。
シングルマザーで、まだ幼い娘がいたリズが、テッドにはまっていくのは分かる。
子供にまで優しくて、知的で法学部の大学生で、将来性もあり、善人にしか見えない。


2人が強く愛し合い、仲睦まじくしている姿が微笑ましくて美しい。


ザック・エフロンが、やっぱりめちゃくちゃカッコ良くて素敵なんですよ。
見事に割れた腹筋など、綺麗な筋肉美まで拝めて、ファンには嬉しい限り。(笑)


彼を見ていたら、こんなイケメンが殺人鬼なわけがない、って思っちゃうよね、って。
ここに、彼をキャスティングした意味があり、実に効果的。


人間の持つ二面性の怖さ、見た目で決めつけてしまう危うさを感じさせる。
先入観で、すっかり騙されてしまうところが怖いし、私も完全に騙された。


逮捕され、裁判に至っても、彼は一貫して無実だと訴え続ける。
この揺るぎない信念に、実は冤罪なのでは?と思わせるのが怖い。
頭脳明晰な彼が、簡単に証拠を残すだろうか?とか、疑ってしまう。

 


彼は逮捕後もせっせと勉学に励み、法律の知識を身に着け、弁護士を解任し、自らの弁護をする。
弁舌巧みで雄弁な振る舞いと、堂々とした態度とカリスマ性。
彼の姿が報道されると、多くの女性が魅了されたというのも納得しちゃう。


それにテッドは、リズに電話をかけ続け、愛を語り続ける。
リズを失う事だけは、本当に怖かったし避けたかったんだと思う。


真実が明らかになるにつれ、リズは電話を拒否し、距離を置くのだけど。
心の底のどこかで、信じていたかった願望のようなものを感じさせた。


自分が知っているテッドの顔からは、到底信じられないというか・・・。
憎みきれない切ない女心も、分かるなぁ~、って双方に同情してしまう。


テッドは2度の脱獄に成功するなど、これまたクレバーな面を発揮させる。
だからといってリズに会えるわけではないのに、彼がもがき、あがくほどに切ない。


そんな彼をリズに代わって支援する、キャロルという女性が後半は深く関わってくる。
私も、キャロルみたいになるだろうなぁ~、とすごく共感しちゃった。。。
彼の無実を信じ、支えることで報われて満たされる心情も分かるわぁ~。


裁判は進み、テッドがどんなに主張しても有罪であることが濃厚になっていくのだけど。
最後まで希望を失わない、不屈の魂が熱くて、感心するというか圧倒された。


ひたすら繰り返される法廷劇は、地味になりがちだがドラマティックで飽きさせない。
そんな劇的な法廷劇も終わり、遂に刑は確定し、死刑判決を受けるわけですが。


裁判長に、弁護士になって活躍する姿を見たかった、と言わせてしまうのがスゴイ。

優秀な頭脳と才能を持ちながら、使うところを間違ったんだよね・・・。


そして、冒頭のテッドとリズが面会して会話している場面に戻る。
リズは、自分のある行為により、彼を苦しめたのではと、ずっと罪の意識に苛まれていた。
そんな呪縛から逃れたい思いもあり、彼に真相を知りたいと強く詰め寄る。


ネタバレかもしれないですが。。。


ここまで、彼の行為を映像として一切明かす事がなかったが、ついに・・・となる。
彼のあの告白は、リズを楽にしてやりたい、という優しさのようでもあるが。


やはり事実なわけで、こうなると隠れた一面とのギャップにゾッとさせられる。
リズしか知らない真相は、衝撃的で驚愕。


人間って、あれほど残虐で卑劣なことをしながら、一方で普通に幸せそうに愛を育みながら暮らせるものなの?!
彼ほどのルックスなら、女の方から寄ってくるだろうになぁ~、って。
それなのに、そのサイコパスっぷりが怖いし、危険だわ。。。


ラストで、その後のエピソードや、実際の人物が登場するのも興味深かった。
人物の再現度も素晴らしく、そっくりでビックリした。
まるでドキュメンタリーのような、リアルな再現ドラマになっているのが分かる。


見た目に騙される危険性に警鐘を鳴らす意味でも、今作の意義があると思う。
凶悪さを秘めた殺人鬼を演じた、ザック・エフロンの演技もお見事でした。