「変容」という言葉がふさわしいのかどうか分かりませんが。

私の親しくさせて頂いている方々が、次々と離職しています。

 

時折集まって食事会をしていた私たち。

同じ職場と言っても部署が全く違って、

いつも一緒に行動しているわけではないのですが、

年齢や感覚が近く、私にとってはとても楽しい仲間でした。

 

ところが、3年ほど前、そのうちの一人が私の所にやってきて、

涙ながらに訴えてきました。

 

上司に、嫌がらせを受けていると。

 

相手は3人で、社内では権力がある人々です。

言うことを聞かなかったり、気に入らない人に対しては、

3人で徒党を組み、徹底的に嫌がらせをしてくるというのです。

 

その方々の噂は、耳にはしていました。

けれども私は、両者の言い分を聞いているわけではないので、

何とも言い難く…でも、とても辛そうだったので、

何とか今の環境から抜け出せるといいですね、とだけ言いました。

 

そうしたら、1年もしない間に、今よりも良い会社に転職することになりました。

しかも、転職先はその方の地元で、親戚や友人もたくさん居るとのことで、

今のように、縁者もいない見知らぬ土地に一人いるよりは、ずっと良い方向へ

進むことになったのでした。

 

そしてその一年後。

この集まっていた仲間の別の一人が、辞めることとなりました。

 

理由は、先ほどの権力者たちが、

病気で手術をした彼女に対し、何の配慮もせず、

激務をさせたことが原因のようでした。

 

配慮をせず…これだけだと、語弊があるでしょうから言っておくと、

彼らにも、他に選択肢がなかったのだとは思います。

つまり、人がいないのです。

仮にいたとしても、上司から見て信頼でき、仕事をこなせる人は、

申し訳ないですが、この会社にはそう多くないのも事実です。

 

人手・人材不足、それは、日本のどの会社にも起きている現象と思います。

でも、だからと言って、仕事を頼みにくい人、言う通りに仕事をしない人には

「あの人は仕事をしないから」という不可解な理由で仕事をさせず、

その尻拭いをさせるかのように、

病気であっても真面目で言うことを素直に聞く人に負担の大きい仕事を回す…

そんな会社に、誰だって居たくはないでしょう。

 

その方はまだ若いですし、将来、この会社にとって重要な存在になることは

間違いなかったので、流石に会社も止めたそうですが…

彼女の意志は固かったようです。

 

私にとっては、数少ない、自分と近い感覚を持った、

オアシス的な二人でした。

 

ああ、この二人に見限られた会社は、一体どうなるのか。

残っているのは、エネルギーの奪い合いばかりしている不遜な輩ではないのか。

そしてそんな会社に残る私は、どうなのか。

自分がもしや、「彼ら」側になりやしないか…

 

会社もきっと、カラーというか意識の集合体みたいなものを形作っていて、

良くも悪くも縁のある者同士が寄り集まり、いわば修行の場となっているように思います。

人はそこでの学びを終えると、その集合体にはそぐわなくなり、

別の場所へと移動していくのではないかと思います。

 

きっと何かの「学び」を終え、「変容」あるいは「進化」してゆく二人。

次のステージへ進み、新しい人間関係を築き、そこでまた切磋琢磨していくのでしょう。

 

会社が、エネルギーの奪い合いの戦場になる前に、

私も学びを終え、変容を遂げることができたなら…そんな風に思っています。