動くものに反応するのは、

狩りをする動物にとって

当たり前の行動です。

犬も猫も肉食動物ですから、

動くものには敏感に反応します。

野生の名残とでも言いましょうか。

 

DNAに深く刻みこまれている行動ですから

致し方ないのですが、

人間社会において、

動くものに反応する本能が

飼い主さんの望まない形で

発揮されてしまうことがあります。

 

例えば…

掃除機を獲物であるかのように

ワンワン吠えながら追いかける犬、

いますよね…。

走行している自転車・自動車・

電車を見て大興奮し、

ワンワン吠えながら

グルグル回る犬、

いますよね…。

狩猟犬や牧羊犬に多いですね。

 

その時の犬の様子を観察してみると、

大きく目を見開き、

目を白黒させながら、

歯を剥き出しにして、

興奮状態で吠えています。

狩りをするときの行動です。

 

この時の吠えを修正しようと思うと

とても苦労します。

この一連の行動と吠えは

狩猟本能から来るものですから、

非常に御しがたいのです。

(中には、それらのものを怖がって

吠えている犬もいます。

そういう意味では防衛本能とも

考えられます。)

オヤツなどを見せつけて

犬の注意をこちらに引こうと思っても、

全く効果が無いこともあります。

 

『オヤツより獲物を捕りたい!』

 

掃除機に吠えるのならば、

犬を別の部屋で待機させたり

ケージに入っといてもらうなどで

ごまかすことは出来るかもしれません。

自転車、自動車、電車に吠える犬は、

あきらめてリードを短く持って

やり過ごすしかないかもしれません。

 

もし、掃除機を見ても、

自転車・自動車・電車を見ても

冷静におとなしくできるよう

しつけたいと思ったら…

飼い主さんは相当頑張って

トレーニングに励まなければ

ならないでしょう。

本能に従って行動する犬を

コントロール出来るくらいに、

飼い主さんが強いリーダーシップを

発揮しなければ難しいでしょう。

(ちなみに、強いリーダーシップとは

力ずくで犬をコントロールすることでは

ありません。優しくもあり、厳しくもある、

理路整然としたリーダーのことです。)

 

裏を返せば、そのような本能を

発揮しやすい狩猟犬や牧羊犬を

飼育しようと思ったら、

それ相応の覚悟が必要だということです。

そのような覚悟がない、もしくは

うまくしつけをする自信がないのなら、

もっと飼育しやすい犬種を選ぶべきでしょう。

 

…ちょっと話がそれてしまいましたが、

以前の警戒吠えのブログでも述べたとおり、

本能的な吠えに関しては

修正に時間を要します。

また、きちんとしたしつけの手法を

身につけておく必要があります。

しつけの本や教材で勉強したり、

行動治療専門医やトレーナーに

相談するなどの対策を

考えてくださいね。

 

 

それでは、また次回!