角田光代『ロック母』 | 音盤ながし

角田光代『ロック母』

●角田光代『ロック母』

 角田さんはロック好きなんだねきっと。「
予定日はジミー・ペイジ」とか「イギー・ポップを聴いていますか」なんていう小説(なのかな?)も書いてるし。この文庫本『ロック母』は短編集で、'92年から2006年の間に書かれたもの。作者自身、今読んでみて、初期の作品には拙い部分や気に入らない箇所もあるけど、それでもこの時間差を”迷える足跡”として楽しんでもらえたら、という気持ちもあるようだ。俺なんかが読めば、それぞれの面白さやシリアスさがあり、やっぱり角田光代は巧いやってことになるんだけど。

 ここでは最初期の作品であり、芥川賞候補にもなった『ゆうべの神様』。家族や世間と折り合いが付かず、すべてがツマラナイと思えてしまう高校生。よく小説に取り上げられる題材だと思うけど、角田が描く彼や彼女はピュアで瑞々しい。とても印象に残る描き方をしていると思う。取り巻く親やオトナ達の醜さと理解のなさに、同じオトナ世代として居心地の悪さを感じ、オトナってだんだん厚顔無恥になって行くものだと気付かされる。
 角田光代はイジワルでもあるのだ。そうなんだ。

 「ロック母」の主人公は、はらぼて姿で大嫌いだったはずの田舎の家に戻る。シングルマザーとなるべく。十年ぶりの我が家では、家事を放棄した母親が部屋に引きこもり、家を揺るがす大音量でニルヴァーナを聴いている。やむなく頼ろうとした親達がまったく頼りにならないような、、、どうすんだ!?
 映画にでもなれば、面白そうな話しだよね。
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