ベイルート『The Rip Tide 』『The Flying Club Cup』 | 音盤ながし

ベイルート『The Rip Tide 』『The Flying Club Cup』

●Beirut 『The Rip Tide 』
      『The Flying Club Cup』

 この1曲目を聴いて即「ムーンライダーズそっくり」って思った。ふんわりしたトランペットの音色と打ち込みっぽいシンプルなリズム、メランコリックなメロディーそしてクルーナーな歌声は、ひと頃のライダーズそっくりだ。アコーディオンとヴァイオリンとラッパがヨーロッパ風に鳴り響くロックを聴いてると、ここにも才人がいた!と嬉しくなる。

 その才人はザック・コンドン、ベイルートは彼のユニット名らしい。ザックは'86年米国ニューメキシコ州サンタフェ生まれ、高校中退し引きこもりになっていた時にエミール・クリストリッツァーの映画の音楽に牽かれるようにヨーロッパ放浪の旅に出たとある。もしかして映画は『アンダーグラウンド』  で、音楽はノー・スモーキング・オーケストラじゃないのかな、あれはけっこう衝撃的だった。旧ユーゴ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)のバンドで、バルカン・ブラスとスカ・パンクが合体したような音楽だったかな。ま、そんなことで眠りから覚めたザック・コンドン青年は、曲を作り出しトランペットやウクレレを使い自宅録音を始めたそうだ。それがN.Yのインディーズに認められ'06年にデビュー。'07年にはセカンド『ザ・フライング・クラブ・カップ』を発表。この辺から俺の目にとまる(笑)


 『ザ・フライング・クラブ・カップ』は'20年代フランス文化の影響をモロに受けたアルバムで、もちろんそこにはシャンソンがあり、そして哀愁と退廃が官能美と化している。まあ、風変わりな音楽だったけど、これがけっこうな評価を得た。

 非ロック系楽器を使ったロック楽団として、俺はこのベイルートが好きなんだけど、その思いを強く持ったのが『ザ・リップ・タイド』を聴いた時だ。つまりそれに気付いたわけだ。前作に比べてバンド感が強く出ているせいかと思う。メロディーがゆる~くループするようなサウンドは古くさいのか新しいのか判らなくなるが、とにかく心地よい。エキゾティックでメランコリックで、そしてイマジネイションをぬめっと刺激してくれるベイルートの音楽に、只今ハマっているのである。
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