小川糸『食堂かたつむり』 | 音盤ながし

小川糸『食堂かたつむり』

●小川糸『食堂かたつむり』

 『シブミ』と『サトリ』の間の箸休めに『食堂かたつむり』。出版当初は、なんか話題先行な感じで、まあ読まなくてもいいと思っていた。ただ、根津で古着物の店を営む女性の話『喋々喃々』がなかなか良かったので、文庫化された本書を読んでみた。

 失恋して全てを失い、声まで失い、故郷に帰るヒロイン。料理の腕を生かして食堂を始める。こだわりの食堂と訪れるお客さん。不仲だった母親との暮らし。そんなことが、すらすらと綴られてゆく。なんかもったいないんだよな。エピソードの数ばかり増えてる印象で、もっとひとつひとつの話しを深く丁寧に書けば、しっとりとした落ち着きのある小説になったような気がするけど。悪くはないけど、ちょっと残念。
食堂かたつむり (ポプラ文庫)/小川 糸
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