キャンディ・ステイトン『EVIDENCE』とフェイム・スタジオ | 音盤ながし

キャンディ・ステイトン『EVIDENCE』とフェイム・スタジオ

●キャンディ・ステイトン『EVIDENCE』
 キャンディ・ステイトンのザ・コンプリート・フェイム・マスターズ。年代的には'69年~'73年。アラバマ州マッスルショールズにあったリック・ホールのフェイム・スタジオで録音され、フェイム・レコーズよりリリースされた作品集です。

 フェイムのキャンディ・ステイトンといえば、サザン・ソウル・ファンにとってはまさにお宝といえるもので、僕も70年代中頃、フェイム期のアルバムを探し回ったが、手に入れられなかった想い出があり、その後日本盤でリイシューされ、その初めて聴いたブルージーでディープな歌声に感動したものだ。04年だったか、フェイムのキャンディのCDが日本盤でリリースされ、同じ内容の輸入盤を持っているのだが、やはりコンプリートと名付けられたアルバムには、どうしても手が出てしまう。

 久しぶりに聴く「アイム・ジャスト・ア・プリズナー」のブルージーな味わい、「ハウ・キャン・アイ・プット・アウト・ザ・フレイム」のような絶品ソウル・バラード、そしてヒット曲「スタンド・バイ・ユア・マン」のカントリー・フレイバー薫る南部らしい曲など、あらためてキャンディ・ステイトンの素晴らしさを堪能している。

 今回ライナーに面白い記述を発見。この道(笑)の権威、鈴木啓志さんが書いているんだけど、マッスルショールズの有名なベースマン、デヴィッド・フッドについて「...この時期('68-'69年頃)、デヴィッド・フッドはほとんど干されていた...」というもので、彼によると、アトランティックはフッドのベースの腕前を疑問視し、レコーディング・セッションにはトミー・コグビルやジェリー・ジェモット、アルバート・ジュニア・ロウなどが呼ばれたという。なるほどね。

 マッスルショールズのミュージシャンとして名高いのは、ロジャー・ホーキンス、ジミー・ジョンソン、バリー・ベケット、デヴィッド・フッド、エディ・ヒントン達だが、もちろんデュエイン・オールマン!もいたね。そんな彼等白人勢は、アトランテイックの支援を受け、'69年3月にマッスルショールズ・サウンド・スタジオを設立し、フェイムから離れたんだよね。

 フェイム・スタジオのミュージシャンについて、ちょっと整理してみると、先ず第一期には
デヴィッド・ブリッグス、ノーバート・パトナム、アール・モンゴメリ、テリー・トンプソン、ジェリー・キャリガン、そしてダン・ペン、スプーナー・オールダム、ドニー・フリッツ達もいたらしく、アーサー・アレキサンダー、ジミー・ヒューズの曲がヒットし、稼いだお金でスタジオ建ててフェイム・レーベルを設立。これが'63~'64年頃。

 第二期には
ジミー・ジョンソン、デヴィッド・フッド、ロジャー・ホーキンズ、エディ・ヒントン、バリー・ベケット、ジュニア・ロウ、そしてデュエイン・オールマンもプレイし、数多くのサザン・ソウルの傑作を演奏で支えた。これが'69年3月までの布陣。

 第三期には
フリーマン・ブラウン、ジュニア・ロウを中心に、ハリソン・キャロウェー、ジェシー・ボイス、アーロン・バーネル、ミッキー・バッキンス、ハーヴェイ・トンプソン、クレイトン・アイヴィ達がいて、フェイム・ギャングと呼ばれるのは、この第三期の連中らしい。で、このフェイムのキャンディ・ステイトンのバックはフェイム・ギャングですねきっと(笑)

 懐かしいフェイムとキャンディ・ステイトンを聴きながら、新たな発見があったりで、ちょっとおさらい勉強もして楽しみました。サザン・ソウルは20代の頃に熱心に聴いた音楽だから、その歌声とサウンドが、身体のどこかに沁み付いてる気がするんだよね。
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