『関口良雄さんを憶う』『レンブラントの帽子』
●『関口良雄さんを憶う』
バーナード・マラマッド『レンブラントの帽子』
吉祥寺の出版社夏葉社の2冊。先日読んだ関口良雄さんの随筆集『昔日の客』(これも夏葉社)が、とても心温かくしてくれた読み物だったので、そんな関口さんへの追悼集である『関口良雄さんを憶う』も、どうしても読んでみたかった。
関口さんは昭和28年に古本屋を始め、また私小説愛好家として上林暁、尾崎一雄の文学書目を自費出版、作家や学者とも付き合いが広く、俳句誌の同人であり、また話し好き酒好きで唄好き踊り好き、座を和ませる達人であった。そして昭和52年、還暦を目前59歳で他界。そんな関口さんを憶う追悼集だから、多くの作家や文学仲間が、愛情あふれる文を寄せている。
なにが良いかって、その昔の人達の落ち着いた文章が良い。今のようになんでも携帯で用を済ますのと違い、手紙でいろんなやりとりをしてきた人達の文章、テレビのない時代の書物がメディアの中心だった時代を生きた人達の文章には、こなれた落ち着きがあり、言葉そのものの持つ表現力が良く生かされているように思える。このような、今ではあまりお目にかかれない文章表現がとてもありがたく、読んでいて楽しいひと時を味わうことができた。
バーナード・マラマッドはユダヤ系アメリカ人作家で、短編集『レンブラントの帽子』に収められた三作品は1968~1972年のものだ。アーウィン・ショー、ウィリアム・サローヤン、デイモン・ラニアンなど、アメリカ人作家の短編はけっこう好きなのでコイツも期待大でしたが、う~ん神経症的というか過敏というか、そんな小説世界がちと辛かったかな。
たとえば「レンブラントの帽子」。ストーリー的にはたわいのないものだが、些細なことにとにかく悩む。当事者にとっては些細なことではないということなのだが、悩むことが小説になる。こうゆうのって、欧米人の社会の成り立ちと関係があるのかなと思えてしまう。些細な違いなんか玉虫色に解決してしまう日本人社会と、その違いを追求し是正しようと努める欧米人社会。日本人の外交下手、交渉下手って、こうした人間関係に対する精神構造と関係あるんじゃないかな、と思ってしまう。そう思えると、なかなか興味深い人間観察があるわけで、成る程小説家の仕掛けにはまったか、と楽しい思いがわき上がる。
バーナード・マラマッド『レンブラントの帽子』
吉祥寺の出版社夏葉社の2冊。先日読んだ関口良雄さんの随筆集『昔日の客』(これも夏葉社)が、とても心温かくしてくれた読み物だったので、そんな関口さんへの追悼集である『関口良雄さんを憶う』も、どうしても読んでみたかった。
関口さんは昭和28年に古本屋を始め、また私小説愛好家として上林暁、尾崎一雄の文学書目を自費出版、作家や学者とも付き合いが広く、俳句誌の同人であり、また話し好き酒好きで唄好き踊り好き、座を和ませる達人であった。そして昭和52年、還暦を目前59歳で他界。そんな関口さんを憶う追悼集だから、多くの作家や文学仲間が、愛情あふれる文を寄せている。
なにが良いかって、その昔の人達の落ち着いた文章が良い。今のようになんでも携帯で用を済ますのと違い、手紙でいろんなやりとりをしてきた人達の文章、テレビのない時代の書物がメディアの中心だった時代を生きた人達の文章には、こなれた落ち着きがあり、言葉そのものの持つ表現力が良く生かされているように思える。このような、今ではあまりお目にかかれない文章表現がとてもありがたく、読んでいて楽しいひと時を味わうことができた。
バーナード・マラマッドはユダヤ系アメリカ人作家で、短編集『レンブラントの帽子』に収められた三作品は1968~1972年のものだ。アーウィン・ショー、ウィリアム・サローヤン、デイモン・ラニアンなど、アメリカ人作家の短編はけっこう好きなのでコイツも期待大でしたが、う~ん神経症的というか過敏というか、そんな小説世界がちと辛かったかな。
たとえば「レンブラントの帽子」。ストーリー的にはたわいのないものだが、些細なことにとにかく悩む。当事者にとっては些細なことではないということなのだが、悩むことが小説になる。こうゆうのって、欧米人の社会の成り立ちと関係があるのかなと思えてしまう。些細な違いなんか玉虫色に解決してしまう日本人社会と、その違いを追求し是正しようと努める欧米人社会。日本人の外交下手、交渉下手って、こうした人間関係に対する精神構造と関係あるんじゃないかな、と思ってしまう。そう思えると、なかなか興味深い人間観察があるわけで、成る程小説家の仕掛けにはまったか、と楽しい思いがわき上がる。
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