MAGIC SAM『WEST SIDE SOUL』/『HIP : THE HISTORY』 | 音盤ながし

MAGIC SAM『WEST SIDE SOUL』/『HIP : THE HISTORY』

 4月に入って天気が良いのは嬉しいけど、花粉症が一気に襲ってきた感じだ。花粉は一応目に見えるし、症状もわかりやすいけど、東電福島原発の事故による放射能汚染は目に見えずその症状が直ちに出ることもないということで、余計に深刻だ。原発事故により避難民となった福島の人々、またその汚染により農業も漁業も危機的状況で、その苦悩は深まるばかりだ。

●ジョン・リーランド『ヒップ-アメリカにおけるかっこよさの系譜学』

 ようやく読了。小説とちがい、小さい章ごとに時間を置いても読めるので、他の本も読みながら、合間合間に読み進めた。ヒップの源流として1850年代、『白鯨』のメル
ヴィルや『草の葉』のホイットマンや『森の生活』のソローを取り上げ、そこからミンストレル、ブルース、ジャズ、ロック、ヒップホップと、現在までのアメリカ黒人音楽を主軸にヒップの変遷を著している。ヒップとは、解説で佐藤良明が述べてるように「 「ヒップ」は、アフリカの民族に由来し、反商業、反文化、反権威をうたったボヘミアン・アーティストを通して広まった」であり、J・リーランドは「元ヨーロッパ人と元アフリカ人が、この国(アメリカ)で交わり踊った複雑なダンス」と語っている。そして、この本で一番ヒップなキャラクターは?の問いに「マイルス・デイヴィスとジャック・ケルアックだろうかな。ふたりとも、人間としては欠陥だらけな男です」とリーランドは答えている。

●MAGIC SAM『WEST SIDE SOUL』
 必殺シカゴ・モダン・ブルース ! だね。'68年デルマーク録音、早い時期にトリオから日本盤が登場したので、日本のブルース・ファンにはお馴染みの音盤だし、このマジック・サムの魅力全開の名盤により、ブルース・ファンが一挙に広がった感のある、記念すべきアルバムだと思っている。本CDは、LP用オリジナル・アナログ・ミックス・マスターによるマスタリングということで、音質的にもグッと良くなったことで、サムの歌声とギターの魅力がより強力に聴き手に迫ってくる。あらためて、マジック・サムは素晴らしい!
 '60年代の話しだけど、マジック・サムはオーティス・ラッシュ、バディ・ガイと共にシカゴ・ブルースの若手三羽烏と呼ばれた(らしいw)。3人共'30年代に南部で生まれ、戦後シカゴに移住、そして三者三様のシカゴ・モダン・ブルースを完成させて行くわけですね。サムの凄さは、マディ・ウォーターズのようなデルタのダウンホーム感を残しながらスタイリッシュなモダン・ブルースを追求したことだと思う。ヴォーカルにゴスペルの影響が薄く、ギターはスクィーズ派でもないという点が個性的だよね。
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