オキ・ダブ・アイヌ・バンド『サハリン・ロック』 | 音盤ながし

オキ・ダブ・アイヌ・バンド『サハリン・ロック』

 ようやく3月、春が見えてきた。志水辰夫『飢えて狼』を二十数年ぶりに再読している。冒険小説の名作だよね。シミタツ節が妙に懐かしい。

●オキ・ダブ・アイヌ・バンド『サハリン・ロック』
 樺太アイヌの楽器トンコリを弾くOKIの去年リリースの新作。民族楽器による音楽だからといって、プリミティブな素朴さを求めていては面食らうよ。これはダンス・ミュージックだ。
 トンコリは電化され、ぶっ太いベースとドラムにエンジニアも加えたダブ編成。樺太発ダブ・ロック~ワールドミュージックとなっている。バンドのメンバーには沼澤尚(ds)、エマーソン北村(kbd)、中条卓(b)、それにエンジニア内田直之と強力な布陣。
 このリズミカルでカラフルなサウンドを聴いて思い浮かんだのがサカキマンゴー(笑)おっと笑っちゃいけない。中里村の雪原で熱演したサカキマンゴーさんの
とても人懐こい音楽とパフォーマンスが印象に残ってるもんだから。オキは樺太のトンコリ、サカキマンゴーはアフリカのリンバ(親指ピアノ)と、国も楽器も違うのに印象が似ているのが面白い。
 ジャケット写真に写るトンコリを抱えたオキの、その背景は樺太の北緯50度線あたりの町で、ここより南はかつて日本の領土南樺太だった。樺太にしろ国後・択捉など北方四島にしろ、日本政府は思い出したように「北方領土を返せ」と言うだけで、戦後一貫して熱意の無いのは明らかだ。沖縄も北方の島々も、戦後日本によって切り捨てられた土地だったのだ、などと珍しく政治っぽいことを思った。『飢えて狼』の舞台が国後・択捉なので、なおのこと考えてしまった。

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